景気占う「お歳暮商戦」石破新政権への不安や楽観は個人消費にも表れるがどうなる?(中西文行)
【経済ニュースの核心】 英国のチャールズ国王は10月25日、サモアで開催された英国の旧植民地を中心とする56カ国の首脳が集う英連邦コモンウェルス首脳会議で過去の償いを求められた。 中国HUAWEIの新OS誕生、東証の取引時間延長…投資家にとって11月はエポックメーキング アフリカ、カリブ海、太平洋の多くの旧植民地諸国は、宗主国だった英国や欧州列強が奴隷制に対する金銭的補償か、少なくとも政治的な償いを行うことを望んでいる。数世紀にわたり奴隷貿易から利益を得てきた英王室は謝罪を求められているが、英国のキア・スターマー首相は補償の支払いを公然と拒否している。 BRICSとG7の間で、グローバルサウスの囲い込み合戦が起きている。グローバルサウスは、欧米列強の植民地だった国々でもある。インドでは、空前の大ヒットを記録したミュージカル映画「RRR」もインド人を差別した英国の植民地主義への抵抗を描いていた。 第2次世界大戦を経て、アジア、アフリカなどの植民地は次々と独立したが、パレスチナ問題に見られるように欧米の自由主義、資本主義から生まれた帝国主義の爪痕は、現在も世界に残っている。旧植民地諸国では、「過酷」な記憶が次世代に継承されているようだ。拡大BRICSの誕生は、そこに淵源があろう。 国内では11月11日の特別国会で次期首相が選出される。自民党は政権維持に躍起だ。過去、下野した自民党が野党第1党だった日本社会党(現・社会民主党)と連立して政権獲得に成功した1994年の「自社さ政権」誕生を彷彿とさせる。 ただ、しょせんは島国日本の陣取り合戦であり、海外投資家の衆議院議員選挙への関心は薄い。 先行きへの不安や楽観は個人消費にも表れる。大手百貨店は先月中旬から購買履歴のある顧客に「お歳暮カタログ」を発送、お歳暮商戦が始まっている。日本百貨店協会による9月の全国百貨店売上高(10月25日発表)は前年同月比2.3%増と31カ月連続増、10都市(地区)では同2.4%増、36カ月連続増である。 ■インバウンドは好調だが さらにインバウンド(免税売上)は同21.6%増(9月月間は過去最高)、30カ月連続増だった。 当然だが、9月の全国消費者物価指数は前年同月比2.5%上昇と、百貨店の売上高増加の一因であり、連動もしているようだ。4月の賃上げを受けて、冬のボーナスは昨年よりも増え、消費者の購買力も増えよう。 百貨店の売り上げは、総選挙で人が動いた10月、続いてボーナスシーズンを迎える11月、12月、これらの月が昨年をどの程度上回るのか。百貨店の月商で新政権への期待度、景気実勢を確認したい。 (中西文行/「ロータス投資研究所」代表)