2試合連続の豪快弾も指摘される“奇妙なスランプ” 地元番記者が危惧した大谷翔平にのしかかる「想定外の重圧」
40号到達にあと一歩と迫った一発は、敵地も騒然となる弾丸ライナーで叩き込んだ。 現地時間8月18日に敵地で行われたカージナルス戦で、大谷翔平(ドジャース)は「1番・指名打者」で先発出場。5回の第3打席で2試合連続となる39号本塁打を右翼席へ放った。 【動画】2年連続40発に王手!大谷翔平が右翼席へ39号本塁打を放つシーン 甘く入った変化球を思い切って振り込んだ。相手先発のソニー・グレイと3度目の対戦を迎えた大谷は、初球に投じられた79.7マイル(約128.2キロ)の緩いカーブを強振。狙いすましたかのように捉えた打球は、瞬く間に外野手の頭上を越え、右翼席の手前にある相手ブルペンに着弾した。 接戦の中で値千金の一打となった大谷の39号。メジャー史上5人しか達成者のいない「40本塁打・40盗塁」に迫る2夜連続の一発は大きな熱狂を生んだ。一方で現地では直近7試合で4本塁打を放ちながら、打率.167、出塁率.242と精彩を欠いている打撃内容を不安視する声もある。 ロサンゼルスに拠点を置く日刊紙『Orange County Register』のドジャース番であるビル・プランケット記者は、8月に入ってからスランプ気味の大谷の状態をふまえて「三冠王や3度目のMVP受賞に対する話は色褪せた」と指摘。一方で今月に入ってから7本塁打を放っている事実を含めて「オオタニはホームランを打ち続けている。これは奇妙なスランプだ」とも論じている。 では不振の原因はなにか。彼がほぼ休みなく出場を続けてきた事実を思えば、蓄積疲労の影響を考えてしまうが、指揮官であるデーブ・ロバーツは「私はそうは思わない」とキッパリ。さらに「私はデイビッド・オルティス(元レッドソックス。『史上最高の指名打者』と言われるレジェンド)が毎日、指名打者としてプレーしていたのを間近で見てきたが、今のショウヘイはデビッドよりもずっと状態が良い。今は打席内での規律が良いの時の彼ではない」と指摘している。 この指揮官の言葉をふまえ、プランケット記者は大谷に予想外の事態が起きているのではないかと論じている。 「オオタニは地区優勝争いとプレーオフ進出争いの中でプレーすることに慣れていないのではないか。それが彼にとっても予想外のプレッシャーとなっている可能性があり、結果として、あまりに多くのことをやろうとしすぎてしまう悪循環に繋がっているのかもしれない」 昨年末のドジャース入団会見で「野球選手としてあとどれくらいできるか誰もわからない。勝つことが一番大事なこと」と強調していた大谷。そのチームとしての勝利に対する強いこだわりが、レギュラーシーズンが佳境を迎える中でプレッシャーとなり、本人も想定していなかった狂いを生じさせている可能性はある。 ナショナル・リーグ西地区の優勝争いでは、パドレスが2ゲーム差と肉薄。3位のダイヤモンドバックスも3ゲーム差にまで迫っている。その状況を考えれば、ここから1か月半は、ドジャースにとって間違いなく正念場である。 そうした状況下で大谷はいかにスランプを抜け出すか。本人がかねてから望んできた「ヒリヒリした9月」を前に、まさに真価を問われている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]