奄美最長「網野子トンネル」で防災訓練 交通事故、車両火災を想定
鹿児島県奄美大島の奄美市住用町と瀬戸内町網野子を結ぶ国道58号網野子バイパスの「網野子トンネル」(延長4243メートル)で12日、トンネル内での交通事故と車両火災を想定した防災訓練があった。警察や消防、道路管理者の県など関係機関から約50人が参加。廃車予定の車両や発煙筒、トンネル内の排煙設備などを用いた実践的な訓練を行い、被害を最小限に抑えるための連携体制を確認した。 同トンネルは2015年3月に開通し、奄美大島で最長のトンネル。訓練は供用開始前の14年から、新型コロナ禍で中止した年を除き毎年実施している。 訓練場所は瀬戸内町側の入り口から約800メートルの地点。車2台が正面衝突し、3人が負傷。うち2人が重傷で、自力で脱出できない想定で実施した。救助後に、片方の車からの出火も想定した。 訓練は後続車の運転手が事故を目撃し、トンネル内の非常電話を使って通報するところからスタート。最初にパトカーが到着し、現場状況や負傷者の確認、交通整理などを実施。その後、消防車や救急車が駆け付けた。 片方の車の扉は開かず、救助隊員らは専用の道具を用いて扉を破壊。運転手を救助した後は、車両火災を想定し消火訓練を行った。トンネル内のジェットファンを作動させ排煙機能も確認した。 訓練後の講評で、主催した県大島支庁瀬戸内事務所の上拾石斉宏所長は「網野子トンネルの通行量は観光客の増加に伴い、今後も増加が予想される。訓練の成果を生かし、事故発生時の被害を最小限にとどめられるよう、関係機関の連携を強化し、広域での相互応援体制の確立に努めてほしい」と述べた。 瀬戸内署によると、同トンネル内では供用開始後、人身事故が3件(いずれも軽傷)発生している。