日本の財政赤字「1,100兆円超え」の現状に戦慄も…それでも「破綻しない」といえるワケ【経済評論家が解説】
巨大な雪だるまのごとく膨張し続ける、日本の財政赤字。財務省によれば、普通国債残高は、令和6年度末には1,105兆円に上ると見込まれています。「恐ろしい、近い将来弾けて、日本そのものが吹き飛ぶのではないか――」そんな心配をしている人もいるでしょう。しかし、日本が財政赤字のせいで破綻する可能性は低そうです。経済評論家の塚崎公義が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
破産するのは「借金が多いから」ではなく…
日本政府の財政赤字は巨額で、毎年の赤字が積み重なって借金の額も巨額に上っています。そこで、日本政府が破産する(財政が破綻する)かもしれない…と心配している人も多いようです。 しかし、筆者は日本政府が破産する可能性は低いと考えています。第1に、金が足りなければ日銀に紙幣を印刷させればいいからですが、超インフレが起きそうですから、これは禁じ手ということにしておきましょう。第2に、家計金融資産の半分を「財産税」で召し上げてしまえば借金が返せるからですが、これも暴動が起きそうなので禁じ手ということにしておきましょう。 政府でも企業でも、破産するのは借金が多いからではなく、資金繰りがつかなくなるからです。企業の場合には、赤字が続くと銀行が不安になって融資の返済を要求してくるために倒産する、といったことが起きるわけですが、日本政府の場合にはそうしたことは起きにくいのです。それは、投資家にとって日本国債がもっとも安全な資産だからです。 メガバンクに預金するよりも日本国債を買うほうが安全ですし、現金で持っているより日本国債を買うほうが(強盗のリスク等を考えると)安全でしょう。米国政府のほうが破産可能性は低いかもしれませんが、米国債を持つと為替リスク(ドル安円高で損を被るリスク)を抱えることになりますから、それよりは日本国債のほうが安全だといえそうです。 多くの投資家がそう考えて日本国債を買うと、日本政府が資金繰りに行き詰まる可能性は非常に低くなります。それを見て、一層多くの投資家が日本国債を買うようになるわけです。投資家同士がお互いを励ましあっているようなものですね(笑)。