コンサル業界で増える「幽霊求人」、大幅昇給は望み薄-AIの脅威も
ソーシャルメディアのレディット上でコンサルタントに人気がある掲示板では、500件以上応募しても仕事が見つからないと嘆く投稿があった。多くの職務で「求人が締め切り、もしくは保留になっている」として「もはやえり好みしている場合ではない」との焦りの声も聞かれた。
業界ニュースレター「リクルーティング・ブレーンフード」編集者、ハング・リー氏はこうした足元の状況について、雇用ペース減速に伴い、採用担当者が応募者に圧倒された結果である可能性があるとみている。またゴースト求人の原因として、採用枠が埋まった後もネット上に放置されている、採用が突然凍結になる、雇用主がすでに募集をかけている求人情報を外部人材会社が重複して掲載している場合なども考えられるという。
「偽の求人広告ではなく、単に本物の求人広告の重複なのだろう」とリー氏。「偽の求人を作る労力はコストに見合わない」と話した。
生活が厳しくなっているのは転職中のコンサルタントだけではない。現在雇用されているコンサルタントも賃金の伸びが鈍化している。
米民間調査機関のコンファレンスボードによると、コンサル業界の昇給率は3年連続で鈍化すると予測されている。コンサル企業の報酬管理責任者を対象とする調査で、同業界の平均給与予算は来年、わずか3.85%の増加にとどまる見通し。伸びは今年からやや縮小し、5%近かった2023年を1ポイント余り下回るとみられている。
コンサル業界ではまた、人工知能(AI)も雇用市場に一定の不確実性をもたらしている。企業はAI活用を模索しており、コンサルタントが提供するフルサービスを必要としなくなるかもしれないためだ。
コンファレンスボードの米ヒューマン・キャピタル・センター責任者、ダイアナ・スコット氏は「新たなAI技術の台頭により、顧客のニーズは変化しており、より小規模で機敏に動けるコンサル企業が力を増しつつある」と指摘。「コンサル業界はディスラプションの時代を迎えている」と述べた。