「これがベスト」 家入レオ、新曲から聴こえる曲作りへの心境の変化
デビュー5周年を迎えたシンガーソングライター、家入レオが7月26日にニューシングル『ずっと、ふたりで』をリリース。7月30日には、アスナル金山(名古屋市中区)でリリースイベントも行った。今作は自身以外が作詞作曲を手掛け、家入レオとしては初めてシンガーに専念した曲となる。そのきっかけや心境の変化、名古屋の印象などを聞いた。
『ずっと、ふたりで』を私が歌うと、これがベスト
2012年に現役女子高生として、シングル『サブリナ』でメジャーデビューした家入レオ。自身で作詞作曲する繊細な歌詞とメロディ、のびやかで力強い歌声が特徴だ。今年はデビュー5周年のメモリアルイヤーとして、初のベストアルバムをリリースし、4月にはこちらも初となる日本武道館公演を開催した。 新曲『ずっと、ふたりで』は、AKB48や嵐などへも楽曲提供をしている杉山勝彦氏が作詞作曲を担当。いままで楽曲制作に携わってきた家入レオとして、初の試みとなった。 ── 今回、初めて作詞作曲を委ねた理由を教えてください。 いままでは、日ごろ誰のせいにもできないけど生まれてくる感情を、ライブでゼロに戻していくっていう作業をしていたんです。自分をさらけ出すことで、来てくれているお客さんも自己を解放できるのかなと思っていました。私が見せることが、みんなの見せることにつながると思って。 でも、今年の武道館でのライブでは、自分のことよりも来てくれたみんなのためだけに、感謝の気持ちだけで歌ったんです。そしたらそのときのほうが、よかったねっていう感想が多くて。そのとき、音楽って自我じゃないのかなって、ふと思ったんです。だから、曲作りっていうのはどうしても“自我”が出てきちゃうので、作詞作曲をほかの人に預けてみようかなって思って。今回はそういうトライアルをしてみました。 ── 実際、自分の曲とどのような違いを感じましたか? 自分で曲を作ると変な探究心“もっと精神”が出てきちゃう。もっとうまく歌えるはず、もっと違うアレンジがあるはず、とか。ありとあらゆる方法を一通り試したくなるんです。見えないものとの対話ですね。 でも、ほかの方から曲をいただくと、その世界観を表現するために、本当にシンプルにメロディと言葉を捉えられるんです。気持ちを込めることと、時間をかけることはイコールではないんだなと。 ── 歌う時にも何か変化はありましたか? 本当に面白いなと思ったのが、『ずっと、ふたりで』を歌う時は、そこに私の押し付けるような気持ちって必要ないんだなって思ったんです。私は、自分の曲がみんなの曲になってほしいという想いを大事にしているので、曲に私が見え隠れしているのはよくないのかなと。私はあくまでも背景でいることが大事なんだって考えました。 なので、曲をフラットにとらえているからメロディと言葉のままに、あまりテクニック的なところは意識していないですね。感じたことを歌で形にしたり表現したりすると、曲のスケールが小さくなってしまうような気がして。『ずっと、ふたりで』を私が歌うと、これがベストかなって思います。ほかの人の曲を歌ったからこそ、分かったことでしたね。 ── CDの2曲目には、ご自身が作詞作曲した『だってネコだから』が収録されています。 『ずっと、ふたりで』をほかの方に委ねたので、自分の中に今まで曲を作ってきたっていう気持ちもあり、“もっと頑張ろう!”といい刺激を受けました。この曲は、日常の中で生まれた曲です。キッチンでご飯を作りながら、お風呂に入りながら、とか自然とメロディが出てきた曲なんです。 自分自身も猫が好きなんですけど、スタッフさんに性格がネコっぽいねって言われることがあって、それだったら猫目線で曲を書いちゃえって思って。すごく素直に自分の気持ちを開放できて、作っていて楽しかったですね。