「みるみる痩せる」は”死”に向かっているのと同じ! 危険すぎるダイエットサプリの真実
発がん性物質が混入しているダイエット茶も
フェンフルラミンもマジンドールなどと同じように、中枢神経に働いて食欲を抑制するもので、この薬も副作用が強い。国外では食欲抑制剤として認められているが、日本では特殊な抗てんかん薬としてのみ認められている。 さらに悪質なのはN-ニトロソフェンフルラミンの混入である。これは、日本の当局がフェンフルラミンを検疫で調べることを知った業者が、フェンフルラミンの検出を逃れるために合成したもの。しかも厚労省によると、N-ニトロソフェンフルラミンの抗肥満作用は推測にすぎず、N-ニトロソ化合物というのは発がん性が指摘されるとんでもない物質である。 マオウは日本では医薬品に分類され食品としての販売はできない。一方西欧ではハーブとしての販売が許可されているため入手しやすく、マオウを混入させたダイエット食品も数多く摘発を受けている。 マオウの主成分は喘息などの治療薬としても有名なエフェドリンで、食欲抑制剤としての医薬品ではない。だが神経に作用して、マジンドールと同じような摂取エネルギー抑制や消費エネルギー促進といった働きをする。 こうしたダイエット健康食品による被害の報告は、日本に限らず非常に多い。そこには被害者たち自身が死へ向かっていることを知らずに努力する要素が見てとれる。抗肥満効果がある医薬品を混入した健康食品は、比較的短期間で効果が実感できる。だから、やせたいという女性の悲痛なほどの願望が、すぐかなえられ始める。そこで飲み続けると副作用で体調が悪くなってくる。でも、こんなに効果があるからちょっとくらい体調が悪いのは我慢しよう、と続けているうちにひどい障害が発生し、場合によっては死にいたるのである。 近年でもこれら違法薬物混入による事故は毎年発生している。「1ヵ月で○kg減量」などというコマーシャルにだまされて命の危険を冒さないよう注意が必要である。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)