「みるみる痩せる」は”死”に向かっているのと同じ! 危険すぎるダイエットサプリの真実
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【前回】野菜は大丈夫でも、エキスを濃縮したサプリには注意! しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より、健康食品の素材がなぜ毒に変わるのか連載形式で紹介する。 前回:<身近な野菜の“毒”も楽観視してはいけない? 野菜は大丈夫でも、エキスを濃縮したサプリには注意!>
劇薬や副作用のある医薬品が混入
違法な製品で死者まで出し摘発される業者がいても、相変わらずつぎつぎ別の業者によりインターネットなどで販売されている健康食品の1つが、ダイエット健康食品である。これら違法な健康食品による症例報告や警告は、厚労省や東京都、道府県の衛生部、保健所などの機関から年中発信されている。それにもかかわらず事故がなくならないのが現実である。 問題のあるダイエット健康食品は「食べたいものを我慢せず、好きなだけ食べてもやせられます」をうたい文句に、使用前後の女性の写真とともに販売されているものが多い。そんな中でかなり悪質なケースとして、未承認の食欲抑制剤が混入され悲劇となった事故が発生している。 2005年5月、「天天素」という中国から輸入されていたカプセル入りのダイエット食品によって、都内在住の10代の女性が死亡した。国立医薬品食品衛生研究所で「天天素」を分析すると、日本で唯一の向精神薬で抗肥満薬のマジンドールと、日本では未承認の抗肥満作用のあるシブトラミンなどの医薬品成分が検出された。 マジンドールの医薬品添付文書には、「摂取エネルギー抑制(摂食抑制、消化吸収抑制)及び消費エネルギー促進(グルコース利用、熱産生促進)をもたらし、更に肥満時にみられる代謝変動を改善することにより肥満症を是正するものと考えられる」と記載されている。 当然、医薬品として認められているだけに効果があるのは確かだが、医薬品は使用方法を誤ればとんでもない副作用が現れる。事実、マジンドールについて同じ添付文書に「劇薬、処方箋医薬品(注意―医師等の処方箋により使用すること)」とある。化学薬品として劇薬に分類されているということは、医薬品としては処方箋を要するものだとわかる。 もう1つのジブトラミンは欧米で一時、抗肥満薬として使用されていた。だが、肝障害を主とした強い副作用によって多数の死者が出てしまった。危険な医薬品として現在は禁止されている。こうした医薬品が使われたカプセルを摂取した人から、100人以上の健康被害が明らかとなり、うち1人の女性が肝障害で死亡したのである。 中国製のダイエット茶でも多数の健康障害が発生している。そこで同年、厚労省は大々的な調査を行ってその報告書を出している。そこにはお茶に入れられた医薬品として、マジンドール、ジブトラミン以外に、フェンフルラミンとN-ニトロソフェンフルラミン、マオウといった医薬品名があげられている。