「火山とともに生きてきた」溶岩に襲われた町 共生への思いと対策 アイスランド
■火山から命を守る対策1 溶岩を防ぐ巨大な「壁」
実は、火山から命を守り共存するための対策がありました。 記者 「私の身長が約170センチ。それをはるかに超える約10メートルの壁が建設されています」 町を囲うようにつくられたのは、全長7キロほどの巨大な「壁」。この壁が、溶岩が町へ流れ込むのを防いでいるのです。
しかし今年3月の噴火では、壁を乗り越えて溶岩が流れ出る事態も起きました。そこで2つめの壁をつくり、今後さらに多くの溶岩が流れ込んだ場合は、その壁で溶岩の流れを変えて海へと流す計画です。
■火山から命を守る対策2 海水で溶岩をせき止める
そして、その海の水を使って町を守るという独自の対策も。 アイスランド気象庁・サロメさん 「アイスランドでは、以前から溶岩対策に水が役立ってきました」 実は、1973年に起きた大噴火の際にも、海水で冷やすことで溶岩をせき止めました。今後、地元当局は、海水で溶岩を冷やし、町に流れ込まないように誘導する作戦を検討するといいます。
■火山から命を守る対策3 避難ルートの確保
そして、もう一つの対策が避難ルートの確保です。訪ねたのはピザがうりの店。今では町で唯一営業しているレストランです。 客 「アイスランドで最高のレストランだよ!」 店主 ソルマルさん 「人々が集まる場所として、町を少しでも活気付けたくて店を続けているんです」 この店では、客に安全に食事を楽しんでもらうため、噴火の場所に応じた避難経路を確保しているといいます。 ◇ 火山活動で生み出された手つかずの大自然や、世界最大級の露天風呂ブルーラグーンなど、火山による恵みも多いアイスランド。
火山との共生についてアイスランドの地質学者は… 地質学者 マグヌス教授 「日本も同じですが、火山活動が活発な地域で豊かな生活をおくってきたので、火山とうまく共存していく必要があります。あらゆるケースに備えておくべきです。何かが起きてから決めるのでは遅すぎます」 ◇ 火山と密接にかかわりながら住民の命をどう守っていくのか。アイスランドの取り組みは、日本にとってもヒントになるかもしれません。