「火山とともに生きてきた」溶岩に襲われた町 共生への思いと対策 アイスランド
日テレNEWS NNN
日本テレビが「地球にいいこと、人にいいこと」を考える『Good For the Planetウィーク』略してグップラ。今回は「火山と共生する町」についてお伝えします。 噴火が続くアイスランドで溶岩に襲われた町があります。暮らしは一変。それでも町にとどまり、火山と共存しようとする住民の思い、そして国の対策を取材しました。
住民 「噴火が始まった!今のうちに避難しよう!」 今年3月、北欧の島国・アイスランド。地表から真っ赤な溶岩が噴き出し、大地を覆うように広がると、道路ものみ込んでいきました。この半年足らずで5回にのぼる噴火が発生しました。 私たちは、溶岩に襲われた町、グリンダビークに向かいました。
後閑駿一記者・NNNグリンダビーク 「噴火して流れ出た溶岩は数軒の家屋をのみ込んで、約3mの高さとなっています。今も周辺には焦げたようなにおいが漂っています」 町のあちこちに黒く固まった溶岩が。家や道路には、地殻変動で大きな亀裂が入っていました。 町の学校は来年までの休校が決まるなど、暮らしを一変させた溶岩の脅威。さらに、町の主要産業にも、大きなダメージが─。
向かった先にあったのは、水が抜けてしまった空の水槽です。 ホッキョクイワナ養殖企業・広報責任者 アリニさん 「(その日地震で)75トンの魚が死んでしまいました」 アイスランドの名産、ホッキョクイワナを育てる養殖施設は、火山活動にともなう地震で、魚を育てる水槽に亀裂が入り、多くの魚を失いました。また、周辺の水質も変化。養殖に適した水を調達するのも一苦労だといいます。 噴火前は4000人ほどが暮らしていましたが、ほとんどの住民は避難しました。 ◇ ただ、一度は避難したものの町に戻ってきた住民もいます。4人家族のマグニさん一家です。 マグニさん(5月18日) 「先週末に戻ってきたんです」
マグニさんは、いざという時の備えをしながら、住み慣れたこの町で暮らし続けたいと話します。そこには、ある思いがありました。 マグニさん 「私たちは何千年もの間、火山とともに生きてきました。自然の力にはかないませんが、共存することはできると思います。人が安心して暮らせることを示す必要があると思いました」