岡ちゃんオーナーの今治が悲願のJ3昇格「社員を食わすため毎月5000万円以上が必要だった」
ホームのありがとうサービス.夢スタジアムのピッチになだれ込んでくる、ベンチに入れなかった選手たちの弾ける笑顔が、FC今治の悲願が成就したことを告げていた。 2年続けて挑んでははね返されてきた、JFLからJ3へと昇格する壁を乗り越えた喜びが、3381人が詰めかけたスタンドへと伝わっていく。追い求めてきた瞬間が訪れても、FC今治のオーナーを務める元日本代表監督の岡田武史氏はピッチとは対照的な表情を浮かべていた。 「僕自身はそれほど喜んでいなかったので、何だと思って見ていた方も周りにはいたんじゃないかと。ホッとした、というのが正直なところですが、こんなところで喜んでいる場合じゃないので。想定よりも1年遅れているし、これは単なる通過点であり、決して終着点ではないので」 10日に行われたJFL第27節。すでにJリーグからJ3ライセンスを交付されている今治がFCマルヤス岡崎を破り、5位のホンダロックSC、6位のヴィアティン三重がともに引き分け以下に終わった場合にのみ、成績面におけるJ3への昇格条件となる、4位以内に入ることが確定する。 果たして、今治は今シーズンに東京ヴェルディから加入した40歳の大ベテラン、元日本代表MF橋本英郎が前半27分に決めた移籍後初ゴールを一丸となって死守。前回対戦で敗れた岡崎を1-0で退けた直後に、ホンダロックと三重がそろって引き分けた吉報が飛び込んできた。 3試合を残しての悲願成就。選手たちは用意されていたJ3昇格記念Tシャツを重ね着し、ファンやサポーターたちは涙を流しながら喜びを分かち合うなかで、終盤戦で失速した昨シーズン、そして9月中旬以降に4戦連続で勝ち星から遠ざかった今シーズンを岡田氏は振り返っていた。 「周囲が今治に対しては100%以上の力で来ることはわかっていたなかで、それでもちょっと苦しみすぎたかな、と。もうちょっとスムーズにいけるかな、と想定していたんですけど、結果的にはホームで決めて、今治の方やサポーターの方に喜んでもらえたのは一番よかったと思っています」