「マティス 自由なフォルム」(国立新美術館)レポート。切り紙絵にロザリオ礼拝堂、マティス芸術の到達点を堪能する
ヴァンスのロザリオ礼拝堂
数年の疎開生活を送ったヴァンスで、マティスは建築空間やデザイン・装飾、絵画や彫刻といった自身の芸術のすべてを統合する最高傑作「ロザリオ礼拝堂」を手がけた。1947年にドミニコ会の修道士から建設の相談を受けたことをきっかけに、礼拝堂のためのステンドグラス、陶板壁画、告解室の扉、磔刑像、司祭服、儀礼用装身具などを制作。51年に献堂式が行われたが、マティスは体調不良で出席が叶わなかった。 本展ではこの礼拝堂の内部空間が再現され、光と影が織りなす美しい空間を体験することができる。日が昇ってから暮れるまでの太陽の動きが再現され、ステンドグラスを透過して差し込む青と黄の光が白い室内を滑るように移動する。刻一刻と表情を変える空間の姿をぜひ味わってほしい。 そのほかカズラ(上祭服)のための美しいマケットの数々などにも注目だ。 内覧会では、本展アンバサダーを務める俳優・安藤サクラが登場。カンヌ国際映画祭へ参加した際、隣町であるニースで過ごした際にマティス作品を見た経験などを語った。 本展はグッズも充実。マティスの遺した意匠を家に持ち帰るのも楽しいだろう。
福島夏子(編集部)