帰属意識を高めるには?ワークエンゲージメントをもたらす個人・組織へのアプローチ方法
近年、特に若手世代の会社への帰属意識が低下しているといわれるようになってきました。その要因となるのは何なのか。そもそも帰属意識とはどんなもので、高めるためには何が必要なのでしょうか。人事・採用コンサルタントとして多くの組織課題に向き合ってきた曽和利光さんが解説します。
帰属意識とは?
帰属意識とは、自分がある集団・組織に属しているという意識であり、「自分もその一員である」と思える感覚のことを指します。 属する集団とは、国や地域、学校、会社、趣味のコミュニティ、家族などさまざま。どこまでが“自分”かどうか、つまり”自分の大事な一部”であり“自分を形成するもの”と感じられるかによって、帰属意識の自覚の度合いは異なります。 帰属意識と似た言葉には、「準拠集団」「組織コミットメント」「従業員エンゲージメント」があります。それぞれの意味や定義を整理していきましょう。 「準拠集団」とは、自分の価値観や信念など、アイデンティティ形成に強い影響を与える集団を指します。自分の態度を決める際に基準とする集団であり、“自分をどう定義するか”にかかわってきます。 「組織コミットメント」は、所属する組織に対して貢献したいという気持ちを指し、「従業員エンゲージメント」は、企業への愛着や組織の一体感を指します。 ◆帰属意識を高めるために必要な「ワークエンゲージメント」 帰属意識は組織において、必要不可欠なものであると考えられています。その帰属意識を高めるにあたり、欠かせない概念が「エンゲージメント」です。エンゲージメントには、従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントがあり、昨今は「ワークエンゲージメント」の重要性に注目が高まっています。 従業員エンゲージメントが組織に対する愛着を指すのに対し、ワークエンゲージメントは仕事そのものへの活力や熱意、没頭を指します。 「燃え尽き症候群」の研究で知られるユトレヒト大学のシャウフェリ教授は、ワークエンゲージメントを「仕事に関連する心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる」と定義しています。