数年だけ製造された"幻のロレックス"とは? 靴職人たちが愛用する腕時計4選
繊細な手仕事やディティールの奥深さなど、腕時計と共通する点も多いシューズの世界。ハンドメイドのレザーシューズを主に手がける靴職人4名に、こだわりの愛用腕時計を紹介してもらった。名作ヴィンテージから意外な(?)カジュアル時計まで、彼らのスタイルが表れた4本が揃う。 【画像を見る】数年だけ製造された"幻のロレックス"
惹かれるのは、「船窓」のモチーフ
埼玉県蕨市と東京都六本木に、靴のリペアとオーダー靴の製作を行う工房、グレンストックを構える五宝賢太郎。革靴からスニーカー、サンダルまで履物ならなんでも仕立て、修理する靴職人だ。そんな五宝が愛用するのはエルメスの「クリッパー」。腕時計に限らず、同じ職人としてエルメスのものづくりに尊敬の念を抱くという。 「クリッパーが誕生したのが1981年で、僕も81年生まれ。運命的な出会いを感じました」 クリッパーの名前は19世紀に世界の大海で活躍した大型帆船に由来。ビスが施されたベゼルや円形のケースは「船窓」を想起させる。 「僕は額縁が好きなんです。枠に制限された装飾やディテールが好き。だから客船の窓から連想されたというこのデザインに惹かれます。またこの時計のプロダクトとしての高い完成度と面白さはさすがエルメスだなと思います」 五宝はこの時計を自ら考案した迷彩柄の阿波和紙のベルトに替えて使っている。紙漉きから製作まで、すべて自作。さすが職人だ。 HERMES / エルメス「クリッパー」
創作を触発する、潔いオールホワイト
こだわりの素材を英国仕込みの確かな製靴技術で、上質でモダンな一足へと仕上げる勝川永一。推薦するのは意外やカジュアル時計の代名詞、スウォッチだ。 「機械式も好きで数本所有しています。靴でも、伝統的な革靴も先進機能を搭載したスニーカーも好き。あらゆるプロダクトに歴史と技術があり、それがデザインに包括されている。そんな視点で双方を使い分け、楽しんでいます」 6、7年前の誕生日に友人から贈られたこの時計。消費されがちなカジュアル時計だが、いまなお勝川のお気に入りだという。 「クロノグラフを搭載しながらもきわめてミニマルなデザイン、しかも多彩なカラー使いが特徴的なスウォッチにして、視認性を無視した白一色の潔さもいい(笑)」 勝川のコレクションには白が多く用いられ、普段のコーディネートにも白を多く用いるのだとか。 「主張せず、強い印象も与えないだけに、すべての色と調和する。デザイン的な余白も大きく、私の創作には欠かせない色です」 SWATCH / スウォッチ「SUSW400」