変わり果てた娘に母「遺体は殺意の痕だらけ」遺族が涙こらえ悲痛な陳述 妹「大切な、大切な、私のお姉ちゃん返して!」放射線技師を夢見た20歳の女子大学生を刺殺 元交際相手の男に懲役20年求刑 2月13日に判決
女性の母「遺体を優しく抱きしめることしかできず…」「明日が来ることを疑わず、夢に向かって邁進していた」
2月5日の裁判で、殺害された大田夏瑚さん(当時20)の遺族が意見陳述を行った。まずは母親が陳述し、涙をこらえながらも、言葉をつないだ。 大田夏瑚さんの母親 「大切に育ててきた娘の命、未来を、奪われた無念を伝えたくて、この場で証言します」 「娘は小さい時から、優しい子でした。娘が抱いた夢は、放射線技師になることです。人の命を助けたいと、中学生の時から目指していました」 「成人式の日のことです。自宅の庭で、『記念にママと一緒に撮りたい』と言って、写真を撮ってくれました。これが最後の写真となりました」 「安置所で布をめくって遺体を確認するよう言われましたが、刑事さんに布を取ってもらいました。やつれた顔をなで、優しく抱きしめることしかできませんでした」 「体中にある刺し傷を見ました。胸には何か所も大きな刺し傷がありました。大きな穴のようでした。“殺意の痕” だらけでした」 「顔の表情は、恐怖、苦痛、無念、さびしさ、後悔…それらすべての感情を物語っていました。あんな人の表情を見たことがありません」 「娘はあの日からずっと、『どうして私が殺されたの?』と言っていると思います。明日が来ることに疑いもなく、夢に向かって邁進していたと思います」 「私の願いはただひとつ、笑顔で可愛い娘を返してほしいです」 悲痛な陳述に、傍聴席からすすり泣く声が漏れた。
妹「母と抱き合い泣き続けた」「実家に帰ってきたのは、小さくなり骨壺に入った姿…」
続いて妹も陳述した。最初は嗚咽でなかなか言葉が出てこなかったが、それでも言葉を振りしぼった。 大田夏瑚さんの妹 「とてもつらくて耐えることができるか分かりませんが、大好きなお姉ちゃんのために、私ができることはどんなことでもしようと思い、この場に立つことを決意しました」 「事件の翌日、遺体安置所にいる姉と対面しました。母と抱き合って泣き続けました」 「9月にはお姉ちゃんは、実家に帰ってくる予定でした。可愛いカフェに一緒に行く予定でした。帰ってきたのは、小さくなって骨壺に入った姿でした」 「お姉ちゃんとの思い出はたくさんあります。思い出を生きる力に変えなければと、毎日苦しみながら頑張っています」 「被告は、怖がっているお姉ちゃんを見て、ハッと我に返ることもできたと思います。階段を駆け下りている時に、思いとどまることもできたはずです。人の命、お姉ちゃんの命を、何だと思っているのでしょうか」 「何ひとつお姉ちゃんと一緒にできない怒りを、どこにぶつければいいのでしょうか。生きることがこんなにつらいと思っていませんでした。大切な、大切な、私のお姉ちゃんを返してください」 無慈悲な凶刃によって、家族の幸せが粉々に砕け散ったことを、改めて痛感する。“思い出を生きる力に変えなければ…”という言葉に、胸が張り裂けそうになった。