マートンの本塁タックルの是非
真中監督の言う「日本のルール」とは、日本での暗黙の了解を指しているのだろうが、里崎氏は、そういう暗黙の了解はないと、言う。逆に、里崎氏は、体格にまさる外国人選手が、勢いをつけてホームに突入してくるときは、それに対処する工夫が必要だという。 「キャッチャーが、あのタックルを嫌がるならば、もうキャッチャーは辞めたほうがいいでしょう。ホームの死守はキャッチャーの宿命です。その姿がチームの信頼を得るのです。ただ怪我をしないための自己防衛は必要で、僕は、骨折をして以来、無理に踏ん張らずに、相手の勢いに任せて、あえて飛ばされるように工夫していました。西田は踏ん張って飛ばされていましたが、あれをやってしまうと怪我につながる危険性があります」 ホームでの迫力満点のクロスプレーは、間違いなく野球の醍醐味のひとつ。イチローの忍者のような走塁とは対極にあるが、なんとかしようと、タックルで落球を誘ったマートンの突進は、メジャーでは当たり前のプレー。 ヤクルト側からは、遺恨の増したマートンのタックルだったかもしれないが、ホームのクロスプレーで、両チームが遠慮するような、なあなあの野球は、お金を取る価値はない。