国会議員の「黒塗り」一般人は乗れるの? 知られざる運転手の身分 じつは使い方でトラブったことも
公用車の使い方で過去、問題に
「内閣総理大臣専用車」の場合は例外的に公私問わず利用が認められていますが、国務大臣や自治体の首長、国会議員の場合は公用車の私的利用は違法であり、認められていません。 ただし、「公用車による送迎の場合、移動経路が大きく外れることがなければ、私的な立ち寄りや首長や議員以外の同乗者を乗せても問題ない」とされています。すなわち、「自宅→私用→公務」と「公務→私用→自宅」の経路での公用車使用は問題ないといえるでしょう。 これに関して2016年には、東京都知事だった舛添要一氏が家族同伴の野球観戦やコンサート鑑賞、湯河原の別荘へ毎週のように公用車を使って移動していたことが発覚し、問題となりました。そのようななか、舛添氏は別荘を「事務所である」と主張し、「静かな場所で仕事をするための移動手段として利用した」と述べたことで、これが私的利用か公的利用かで意見が分かれました。 2017年には当時、自民党の国会議員だった金子恵美氏が子どもを保育園へ送迎するのに公用車を利用したことが問題になりました。ただし、金子氏の場合は登院の途中で保育園に立ち寄っていたので、公用車の利用規約に反したわけではありません。 問題発覚後、金子氏は世論に配慮して「公用車での子供の保育園への送迎は控える」と声明を発表しましたが、彼女の場合は前述したようにルールに則って使用していたので、あくまでも自粛という形です。逆に、的外れな批判によって国会議員が過度に公用車の利用を避けるようになると、本来必要な議員活動にも支障が生じる恐れもあるため、その点では議員の自制と国民の一定の寛容さ、双方が必要といえるでしょう。
国会の公用車に乗ってみた
このように、一般人にはあまり馴染みのない国会議員向けの公用車に、筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は相乗りしたことがあります。 今から15年ほど前のことですが、とある与党所属の参議院議員にインタビュー取材を申し込むと、先方は多忙のため移動中に車内でハナシを聞くことになりました。 議員会館の駐車場にマイカーを停め、クルマ寄せで議員と落ち合ったあと当該議員の目的地まで1時間ほど同乗しました。車種は「クラウンセダン」で、装備や乗り心地などはタクシーとまったく変わりません。 なお、乗車前に総務省に確認を取ったところ「経路を外れての送迎は許されないが、国会議員に用事のある人が回送車に同乗して議員会館へ戻る分には問題ない」との回答だったため、議員を送り届けたあと、筆者はそのまま公用車で議員会館へと戻ることになりました。 一般人だと、まず乗る機会のない公用車の後部座席に一人で乗るという貴重な経験をさせてもらいましたが、誰にも気兼ねする必要がないにもかかわらず、タクシーとは違いそこまでリラックスできませんでした。 ※一部修正しました(11月11日21時00分)。
山崎 龍(乗り物系ライター)