“摂食嚥下障害”のある人にも外食の楽しみを…シェフ考案!フレンチのフルコースを提供
多くの人が普段何気なくとっている食事。中には食べたり飲み込んだりすることが難しい摂食嚥下(えんげ)障害がある人もいる。 【▶動画を見る】シェフが工夫を凝らした摂食嚥下障害のある人向けのフレンチフルコースとは!? こうした人たちにも家族と共に外食を楽しんでもらいたいと取り組みを続ける人たちを取材した。
摂食嚥下障害とは…
「飲み込むことだけに問題を抱えた方は嚥下障害という。一方で発達障害や先天異常の方の中には、例えば食べ物を目で見て、手にとって食べる、咀嚼するなど、食べる動作すべてに問題を抱えている方もいる。そういう方は摂食嚥下障害という」 摂食嚥下障害について説明するのは、新潟大学歯学部の井上誠部長。摂食嚥下障害がある人の中でも若年層と高齢者では違いがあると言う。
「高齢者には過去に元気な頃があった。元気な頃の食経験や思考があったので、認知症の人でも普段の会話は成り立たなくても、おいしいものを目の前にすると病気が治ったように普通に食べられるということがある。一方、発達障害や先天性の障害など生まれながらにして食べることに問題を抱えている方は、生涯にわたって普通の物を食べていない。そういう経験がない方は、ザラザラした食感のものなどが舌の上に乗るということは違和感があるということ、噛むということは嫌なことというふうにすり込まれている可能性があり、訓練がしにくい状況にある」 しかし、発達障害などが原因で摂食嚥下障害がある若年層でも、食べることができるようになる可能性もあるという。「障害があっても発達過程で能力が獲得されていくことがある。生まれて一度も食べてこなかったのに、食べられるようになったという方もいる。患者さんでいきなり食べられるようになった人もいる」
約20年前から取り組む「ばりあふり~お食事会」
「摂食嚥下障害」のある若年層のために、井上誠歯学部長が注力する取り組みが「ばりあふり~お食事会」だ。 「ばりあふり~お食事会」とは、摂食嚥下障害がある人にも家族と気兼ねなく外食を楽しむ機会を持ってもらおうと、新潟大学歯学部や県内の特別支援学校・にいがた摂食嚥下障害サポート研究会などからなる実行委員会が行っている食事会だ。