“摂食嚥下障害”のある人にも外食の楽しみを…シェフ考案!フレンチのフルコースを提供
もともとは、特別支援学校の教師たちや摂食嚥下障害がある児童や生徒の保護者が約20年前に始めた取り組みだが、2009年からは新潟大学も活動に参画し始めた。
井上歯学部長は「日常生活で食べることに困っている生徒さんたちがいるということで、ある日、特別支援学校に訪ねてきた。そのときに特別食はどう用意していたかというと、普通に出た給食を先生が生徒の前でミキサーにかけて提供していた。すると先生は専門家ではないので、はたしてこのミキサー食でいいのか、衛生面は大丈夫かと困ったことがあり、我々の元に訪ねてきたことがあった」と大学も参画した経緯について話す。
「ばりあふり~お食事会」で提供されるのは、飲み込みや咀嚼などに障害がある人でも食べられるように形や硬さなどを調節した特別食だ。 特別食は、誤嚥や窒息などのリスクは避けられる一方で、食材をミキサーにかけたり、水を足したりするため、一般的においしさを損なうことが課題となっている。 しかし、「ばりあふり~お食事会」ではホテルのシェフの協力を得て、普通の食事と同じ近い味わいに保たれている。
ホテルシェフが考案 特別食のフレンチ
前任のシェフから引き継ぎ、「ばりあふり~お食事会」の調理の中心的役割を担っているホテルオークラ新潟の本間大介シェフ。特別食の調理・制作にフレンチの調理技法を生かし、この取り組みに協力していた。 「裏越してパッセしたり、ミキサーでまわしたり、ムース上にしたり技法が似ているものが多いので、そんなに違和感なくできた。全然違う作業ではないので、マッチする部分があった」
「ばりあふり~お食事会」で提供されるのは本格フレンチのフルコース。 噛む力を基準にして、もともとの普通食から細かく刻んだ後期食、舌で押しつぶせるくらいの硬さの中期食、ペースト状の初期食、そして液体状の注入食と、一つのメニューで5段階の料理を作る。
本間シェフは「原型が段々とどめなくなっていくので、より普通食と同じに仕上げるように考えて、工夫して作っている」と話す。 材料へのこだわりはもちろん、できるだけ普通の食事に近い食感や色合いを残すよう工夫を凝らしていた。