新加入選手、現役ドラフト、新外国人……チーム内競争に注目したい。カープOB・大野豊が語るキャンプの見所
現役ドラフトや外国人補強、選手の移籍等を経て、顔ぶれが変化している新井カープ。まさに『変化』の1年となる来シーズンに向け、2月にはいよいよ春季キャンプもスタートする。ここではカープOB・大野豊氏が、キャンプへの期待と注目選手を、独自の目線で解説する。(全2回/2回目)(データは全て12月12日時点) 【写真】現役ドラフト2巡目で獲得した鈴木健矢 ◆心技体に加えて重要な『考える力』を磨く 2024年の課題のひとつに、チャンスの場面で得点に結びつかないというところがありました。ホームランの数も必要ですが、やはりチャンスでいかに得点をあげるかも大切です。ポジション、打順も踏まえ、相手に「迫力があるな」「粘り強いな」と警戒されるようなカープとしての打線、チームづくりを目指していくべきでしょう。理想は、スタメンで出場している選手たちとベンチで控えている選手たちの力の差が少しでも小さくなることです。スタメンクラスの選手に何かがあったときも、すぐに代わりの選手が出てこれる。これが理想です。 ただ、控えの選手がスタメンの選手たちとの力の差を埋めるためには、同じような練習をしていてはいけません。より一層、徹底的に自分のスタイルをつくり上げていく必要がありますし、体力もメンタルも並行して伸ばしていかなければなりません。そこにさらに付け加えるとするなら、『考える力』も大切です。ただ単に指導された通りにやるのではなく、「もっとこうすれば良くなるのではないか」という、自分なりの考えを持って一つひとつ行動に移していくことができれば、メンタルの面も、技術の面でも、体力面でもしっかりしたものが身についていくのではないかと思います。そのための『考える力』も、非常に大切だと思います。これはキャンプでなければできないことですし、キャンプだからこそやるべきことでもあります。スタメンやベテランの選手に勝つためにはもっとやらなければならない、妥協してはいけない。そんな気持ちで取り組んでいくことも必要です。 野手ではゴールデン・グラブ賞に輝いた矢野雅哉のほかにも、末包昇大ら期待したい選手は大勢います。そこに仲田侑仁や内田湘大らがどこまで割り込んでこれるかも注目したいところです。仲田も内田も若い選手ですが、非常に非凡なものを持っている選手たちです。今シーズンの最終戦でもその片鱗を見せてくれました。彼らが一気にグッと伸びてきてくれると、さらにチーム全体の力も上がっていくのではないでしょうか。 どの選手も、良いものを持っているからこそプロに入ってきていることは間違いありません。まずは自分の武器、自分の良いものをいかにアピールできる状況をつくっていけるか。当然、プロの世界では戸惑うことや、自分の知らなかった弱点が見えてくることもあるでしょう。そこから逃げず、強くなるためにはどうすれば良いかと考えながら過ごすキャンプであってほしいと思います。 ただ、くれぐれもケガにだけは気をつけてもらいたいです。出だしでケガをしてしまっては元も子もありません。かといって妥協するのではなく、ケガのないように、しかし全力を出してキャンプに取り組んでいってもらいたいです。今の選手はオフの期間も練習をしていますから、それぞれの取り組みが良い方向に進んでいって、ベストな状態で、2025年の春季キャンプに臨んでもらいたいと思います。
広島アスリートマガジン編集部