サイン盗みアストロズにもうひとつの疑惑…ボールの回転数をアップさせる何かの不正をやっていた?
2018年7月、ワシントンD.C.でオールスターゲームが行われた。 初めてオールスターに選ばれたインディアンスのトレバー・バウアー(現・レッズ)は試合当日、クラブハウスに入って目が合ったアレックス・ブレグマン(アストロズ)に手を出して挨拶をしようとすると、握手を拒否された。 「根に持ってるんだなぁ、って思ったよ」 その日から遡ること2ヶ月ほど前、バウアーがこんなツィートをしている。 「スピンレートを簡単に上げる方法があるとしたら。例えば、そのチームがトレードで獲得した投手のスピンレートを一晩で数百回転上げられるとしたら。うまくトレード市場で(掘り出し物を)手に入れられると想像してほしい・・・。本当にその方法が存在するとしたら」 バウアーは、具体的な方法や特定のチーム、選手を名指ししたわけではなかったが、アストロズの選手らは、トレードで加わったゲリット・コール(現・ヤンキース)を標的としたものと解釈し、ブレグマン、ランス・マッカラーズJr.らがツィッターでバウアーを批判し始めた。 確かに、コールの回転数は上がった。 2015~2017年の4シームの平均は2150~2180回転(分)。アストロズに移籍した2018年、バウアーがツィートした時点での回転数は2332だった。その年の平均は2379回転だ。 明確な差とまでは言えなかったが、アストロズの選手がバウアーを敵視したり、米メディアも暗にコールが松ヤニを使っていることを告発したのだろうと断定的に報じたのは、あるバイアスがかかった結果でもある。 知られるように二人はUCLAの同級生だ。ドラフトされたのも同じ2011年。コールが全体の1位で、バウアーが全体3位。しかしながらライバルの二人は大学時代から仲が悪く、それがツィートの背景だというわけだ。 ただそれは、正確ではない。 「捕手とは、決して理解し合えなかった」 このオフ、バウアー本人に聞くと、そう言ってから大学時代の苦い思い出を語り始めた。