アマヤドリの“思い出にまつわる劇”、写真撮影をテーマにした「取り戻せ、カラー」
アマヤドリ 雨天決行 season.7「取り戻せ、カラー」が、1月24日から26日まで東京・吉祥寺シアターで上演される。 “雨天決行”は、アマヤドリが2013年に始めたプロジェクトで、本公演より小規模な作品を上演するシリーズ。広田淳一が作・演出を手がける「取り戻せ、カラー」には、メンバーの倉田大輔、相葉るか、沼田星麻、宮崎雄真、宮川飛鳥、堤和悠樹に加え、小町実乃梨、梶川七海、元山日菜子、夏アンナ、チカナガチサトが出演する。 広田は作品の概要について「本作では『写真撮影』という日常にありふれた行為をモチーフに、日本人の生活様式を過去・現在・未来を行き来しつつ描いていく」「要するにこれは『思い出』にまつわる劇であると言っていい」と説明した。 ■ 広田淳一コメント 写真が苦手だ。撮るのも、撮られるのも、なんだか気恥ずかしい。人と会っている時間の中で「一枚いい?」なんて言ってしまうと、なんだか、それまでの流れを断ち切るような心地がして、どうにも気が引ける。写真を撮られている間というのは実際、かなり退屈な時間なのだが、かといって飽き飽きしたような態度をとるのも大人気なく、やはり、それなりの陽気さを装うしかなくなって引きつった笑顔を作り、また一方ではブサイクな己の写真が歴史に刻まれる悲劇をなんとか回避しようとして普段は使わない表情筋に力を込めたりして無益な努力を重ねてしまう。そんなわけで、私は写真が苦手なのだ。だが、過去に撮られた写真を見るのはめっぽう好きだ。ああ、あの頃はこんな感じだったなあ、とか、この人と仲良くさせてもらっていたなあ、とか、そういうことを思い返す時間が好きだ。そんな時には、なんでもっと多くの写真を撮らなかったんだろう、とか、あの人と一緒に写っておけば良かったなあ、などと思うのだが、まあ、また現実の生活に戻ると流れを断ち切って「撮影」に突入していく勇気が、でないのだが。 さて。本作では「写真撮影」という日常にありふれた行為をモチーフに、日本人の生活様式を過去・現在・未来を行き来しつつ描いていく。作品全体はひとつの統一的な物語にもなっているが、細かな断片的なシーンによって構成されている。それぞれの場面における人々のつながり、とりわけ、家族のつながりにフォーカスして劇を作っていきたい。要するにこれは「思い出」にまつわる劇であると言っていい。 今作では、作家の持っている極めて個人的な情報をふんだんに織り込んでいくつもりでもあり、その意味では半自伝的な、非常に個人的な作品にもなっていくだろう。当然ながら、そこを通って普遍性を備えた家族の劇に至りたいと考えている。私のずっと追ってきたモチーフである「死」そして「誕生」ということを作品の軸としつつ、まあ、ざっくりと言えば、なんだかんだでそれなりにエモい作品になっていくんじゃないかと思う。 もちろん、アマヤドリの劇なので善良な人間ばかりが出てくるようなのどかな芝居にはならない。悪口雑言が飛び交う場面も多く出てくるだろうし、なんだったら暴力や、暴行、悪意や嫉妬の飛び交う瞬間も多く存在するだろう。その時間を生きている渦中においては耐え難いような場面であっても、過去の瞬間として額に入れてみれば、なんだか懐かしいような、ともすれば愛おしいようなそんな状況に思えることもあるのかもしれないな、などと思って様々な思いを封印してみようと思う。 ■ アマヤドリ 雨天決行 season.7「取り戻せ、カラー」 2025年1月24日(金)~2025年1月26日(日) 東京都 吉祥寺シアター □ スタッフ 作・演出:広田淳一 □ 出演 倉田大輔 / 相葉るか / 沼田星麻 / 宮崎雄真 / 宮川飛鳥 / 堤和悠樹 / 小町実乃梨 / 梶川七海 / 元山日菜子 / 夏アンナ / チカナガチサト ※U-25、高校生以下割引あり。