「橋から大阪港一望」大阪メトロ民営化初のぶらりウォーク
Osaka Metro(大阪メトロ)が大阪港周辺エリアでまち歩きイベント「大阪・まち・再発見ぶらりウォーク」を開催し、参加者たちは大きな橋を巡りながらベイエリアの絶景を楽しんでいた。市営地下鉄時代から実施していた名物企画で、今年4月の民営化後初めての開催。夏休みに親子向け企画を実施した後、9月から月1回ペースの定期開催を目指す。 さようなら大阪市営地下鉄 最終列車到着で85年の歴史に幕
市民の声に押され時期を早めて再開
前夜までの雨も上がって好天に恵まれ、739人が参加した。メトロ開業を記念した特別編で、湾岸部にかかる橋を未来への架け橋に見立て、橋の上から大阪の将来を展望しようというもの。コースは集合場所である大阪市西区のメトロ本社前から、ゴールの中央線大阪港駅(港区)までの11キロ。1903年、メトロの前身である大阪市電が開通した歴史的コース(花園橋西詰~築港桟橋間5キロ)を辿る旅でもある。大阪の近代化は交易の拠点となる港と都心部を結ぶ東西交通軸の整備から始まった。 ぶらりウォークが第一歩を踏み出したのは2013年9月。職員の自主企画で初回参加者はわずか22人だったが、事前予約なしで当日参加できる手軽さや、人気テレビドラマにちなむタイムリーなテーマ設定などが支持され、ときに参加者が千人を超える名物企画に成長した。 民営化に伴い、今年3月を最後に終了。関係者によると、新会社設立後、今秋からの再開を検討していたが、市民から「早く再開してほしい」との要望が寄せられたため、開業記念と銘打ち、時期を早めて再開に踏み切ったという。参加者は記念グッズを贈られ、コースマップを片手に続々とスタートした。
千歳橋となみはや大橋からベイエリアを一望
大正区内の三軒家中央商店街を進み、大阪みどりの百選に選ばれている庭園泉光園を鑑賞。泉尾商店街から北村南公園へ抜けると、港の情景が視界に飛び込む。穏やかで静かな時間が流れ、つかのまの旅情に足を止める人たちも。コースの分岐点に立ち道案内するメトロ社員の誘導で、千歳橋(ちとせばし)を目指す。 大正内港に架かる千歳橋は2003年開通。アーチ橋とトラス橋を組み合わせた独特のシルエットと、鮮やかな青色があいまって優雅なたたずまいを醸し出す。橋を渡りながら西の海側を見渡すと、コースのヤマ場といえるライトブルーのなみはや大橋が、ややかすみながら水上に浮かぶ。 千歳橋を渡り切ると、スタートから5キロ地点。鶴町地区を2キロほど歩いてなみはや大橋へ。尻無川の最河口部で、大正区と港区を結ぶ。周囲には港湾施設が集積し、背の高い大型船の往来が激しいことから、高くて長い橋が必要になった。両区側ともアプローチの高架橋の長さは500メートルを超え、全長で約1・6キロに達する。 急こう配の高架橋を一歩ずつゆっくり進む。橋の中央部からは、さきほど渡った千歳橋を含めてベイエリアの雄大な景色が一望できた。橋に別れを告げ、近代化の記憶を宿す赤レンガ倉庫前、にぎわう海遊館前を通過し、ゴールの大阪港駅に辿り着く。