映画好き必見! ポーランド映画の巨匠、アンジェイ・ワイダの14作品が特集上映。大規模回顧展も同時開催
国立映画アーカイブ
東京・京橋の国立映画アーカイブで、上映企画「映画監督 アンジェイ・ワイダ」が開催中だ。ワイダは「ポーランド派」の若き筆頭監督として、世界の映画史にその名を刻んだ。今回の特集上映では、その作家性を存分に堪能できる14作品がラインアップされている。また、同館で開催されているワイダの大規模回顧展の見どころも紹介したい。 【写真】上映作品の名シーンと特別展示の目玉。
スクリーンで観る、映画史に残る壮大な物語
今回の上映では、長篇デビュー作の『世代』をはじめ、映画界に新風を巻き起こした『地下水道』や『灰とダイヤモンド』などの初期作品を一気見できるのが魅力的だ。「抵抗三部作」として知られるこれらの作品では、ワルシャワ蜂起時のレジスタンスや戦後共産化したポーランド社会が描かれている。後期作品の『大理石の男』や『鉄の男』では、抵抗の歴史と同時代の運動に対するワイダの強い共鳴の意志が感じられる。彼は、当時の社会主義体制にも抗いながら、ポーランドがたどった苛酷な歴史の雄弁な語り手として、色褪せない名作を世に残してきた。また、坂東玉三郎主演で映画化した『ナスターシャ』は、彼と日本の深い関係性が見受けられる作品だ。
連動型展示で解剖する、巨匠の作家性
今回の特集上映に連動した展覧会も、必見のコンテンツだ。大規模回顧展となる本展では、日本美術技術博物館Manggha(マンガ)のコレクションを中心とする貴重な資料群を展示。2019年にクラクフ国立美術館で開催された展覧会の初の海外巡回である本展覧会は、ワイダが生涯にわたって育んだ日本との深いつながりに着目するという独自の視点を設けている。ポーランド文学の名作をたびたび翻案して壮大な物語世界を築き上げてきたアンジェイ・ワイダ。彼の作品や監督としての功績を振り返る絶好の機会に、その作家像と作品世界を味わいたい。
文:Pen編集部