【NISMOが設立40周年】 原点は大森ワークス! NISMOロードカーが生まれるまで
NISMO初のコンプリートカー、270R
そのNISMOが、初のコンプリートカー『NISMO 270R』を送り出したのは1994年のこと。設立10周年を記念するモデルとして、30台限定で送り出された。バブル期の日産車は、『901活動』(1990年代までに技術世界一を目指す)により生まれた走りに優れたモデルたちが人気を博し、ストリートチューニングも賑わいを見せていた。 NISMOも持ち前の技術を活かし、市販車向けチューニングパーツビジネスに参入を始めており、初代社長であった難波靖治氏は、海外メーカーがワークスチームの技術を反映させたコンプリートカーを手掛けていることを参考に、NISMOコンプリートカーの企画開発に着手した。 第1弾モデルとなった270Rは、難波社長の思い入れの強かったモデルのひとつ、S14型シルビアの前期をベースに開発。エンジン、駆動系、ブレーキ、シャシー、内外装まで手を加えた、NISMOの名に恥じない本格的なものであった。 その名が示すように、当時の280ps自主規制内に収まる最高出力270psとし、その名も国際ラリーで活躍したS110型シルビアがベースのコンペティションモデル、『240RS』のオマージュとした。 ベース車よりも50ps/6.5kgmの性能向上を図ったことで、パワーウエイトレシオも5.55kg/psから4.59kg/psへと向上。価格はR32型スカイラインGT-Rに迫る450万円と、ベース車より200万円高であったが、今考えれば破格の値段といえるだろう。
NISMO 400Rは新車価格の2倍以上
第2弾となったのは、1996年の東京オートサロンで発表された『NISMO 400R』だ。R33型スカイラインGT-Rをベースに、エンジン性能を大幅にアップさせたのが最大の特徴で、排気量は2.8Lにスープアップ。最高出力400ps、最大トルク47.8kg-mまで強化されていた。 その性能を受け止めるべく、ワイドタイヤ化も図られ、オーバーフェンダーを装着。エアロパーツも、空力と冷却性能がより向上していた。99台限定とされた価格は、新車価格の2倍以上となる1200万円であり、性能と価格共に衝撃的といえた。 上記2台は特別展示で実車を確認することができ、さらに、2007年6月に限定300台で販売された、Z33型フェアレディZをベースとした『バージョンNISMOタイプ380RS』も展示。こちらはモータースポーツ参戦用車両として市販された『バージョンNISMOタイプ380RSコンペティション』のロードバージョンと言えるもので、3.8Lのレーシングエンジンをデチューンして搭載した。 同車投入は、R35型GT-R登場目前といえるタイミングで、当時GTレースで活躍していたフェアレディZの魅力を改めてアピールする狙いもあったのかもしれない。