名古屋のものづくりの現場から生まれた、唯一無二のアップサイクル品
エコやエシカルを前面に押し出さないほうがうまくいく
どの素材を使うかが決まると、研磨機で研磨し、角を取り、さびを防ぐ加工を施した。近藤印刷では、真鍮の板にインクの接着性を向上させる処理を施し、久保さんの設計どおりに、それぞれ「ニューズウィーク日本版SDGsアワード ○○賞」と受賞企業名をUVインクジェットプリンターで印字して、カットした。その真鍮の板をアルプススチールで鉄のトロフィーに貼り付け、底部には合成皮革を貼り付けて、特製トロフィーは完成した。 だから、近藤さんも久保さんも長谷川さんも「かっこいい」にこだわり、廃材由来かどうかに関わらず、「受賞した人が、もらってうれしいトロフィーにしたい」と取り組んでくれた。 それを実現するのが、職人の技だったり、デザインの力だったりする。今回、近藤印刷でもアルプススチールでも、60代~70代のベテランの職人が喜んで関わってくれたと聞く。近藤さんはまた、「価値を何倍にもできる」と、デザインの重要性を力説する。 近藤印刷、アルプススチール、久保さんと、3者の協力のおかげで、唯一無二の「SDGsアワード」特製トロフィーが完成し、受賞者の皆さんにも喜んでもらえた。この小さな協業は、ものづくりの現場に潜む大きな可能性を、私たちに垣間見せてもくれた。 森田優介(ニューズウィーク日本版デジタル編集長)