「ユウキのシートが欲しかった」2021年途中からルーキー角田裕毅をサポートしたアルボン「奇妙だった」リザーブ当時の心境を吐露|F1
ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが、2021年当時角田裕毅のアドバイザー役を務めたことについて振り返った。『High Performance』のインタビューで口にしている。 ●【F1™|ハイライト】F1™2023最終戦 エティハド航空・アブダビGP 決勝|2023 1996年生まれ、現在27歳のアルボンは2018年のF2でジョージ・ラッセル、ランド・ノリスに続く総合3位となり、2019年にトロロッソ(現アルファタウリ)からF1デビューを果たす。シーズン途中の13戦目より、レッドブルで不振だったピエール・ガスリーと入れ替わる形で、初年度からレッドブル昇格を果たした。 だがレッドブルではRBシリーズのマシンバランスに苦しみ、2019年の途中から2020年末まで奮闘するも、アルボンは2020年限りでレッドブルのシートを失う。 当時のRB16について「マシンのバランスがまったく良くなかった」と振り返った。この年のポイントランキングではマックス・フェルスタッペンが2勝で214ポイント、アルボンは最高位3位2度で105ポイントと、僚友にダブルスコアの差をつけられた状況に。2021年はレーシングポイント(現アストンマーティン)離脱となったセルジオ・ペレスが加入し、アルボンはレッドブルのリザーブドライバーに降格となった。 2021年開幕前のプレシーズンテストでは、フェルスタッペンが「フィーリングがすごく良い」とRB16Bのポテンシャルアップについて語っていたこともあり、リザーブ降格直後のアルボンとしては「このタイミングでマシンが良化するのか」と意気消沈したという。実際に同年のドライバーズチャンピオンシップは、ルイス・ハミルトンとの激闘を制して、オランダ人ドライバーが初戴冠を果たしている。
また、同年は角田裕毅がアルファタウリのレギュラードライバーとなり、F1デビューを飾ったシーズンでもある。デビュー戦のバーレーンGPではいきなり9位入賞と上々のスタートを切るも、その後日本人ドライバーは不用意なミスも散見され、なかなか結果を残せずにいた。 中盤戦以降はシャシー交換などもあり、角田は予選でも高確率でQ3に進出するなど存在感を示すようになる。ちょうどこのタイミングで、アルボンは角田のアドバイザー役を務めたことでも話題になった。 だがアルボン本人はヘルムート・マルコ博士から角田の教育係を頼まれたことに、明確に難色を示したと回顧している。 「ドライバーコーチを頼まれたんだ。でも、そのときに“ノー”と言ったんだよ」 アルボンは当時、複雑な心境だったと吐露。角田のシートが、自分の欲しているレギュラーの座だったからだ。 「当時、どうやったらレギュラードライバーに戻れるのかとずっと考えていたよ。そんな状況下で“ユウキのアドバイザーをやってくれないか”と言われたんだ。それだけでなく、レッドブルジュニアの若手たちにも指導してほしいとね」 「でも、それは状況として奇妙だったと思う。だって僕はユウキのシートが欲しかったわけだから。当時、実際に自分が乗れる選択肢を考えたらレッドブルを除くとアルファタウリのシートだったからね」 レッドブルのバックアッパーだった2021年、アルボンは角田のサポート役を承諾しながらも、内心は複雑だったようだ。なお、2022年はメルセデスに移籍する盟友ラッセルの推薦もあり、その穴埋め役としてウィリアムズのシートを獲得している。2021年限りでアルボンはレッドブルと袂を分かつこととなった。
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