欧州のPE、出口戦略がネックに 資金潤沢も投資に慎重
Emma-Victoria Farr Andres Gonzalez [ロンドン 20日 ロイター] - 市場関係者によると、欧州のプライベートエクイティ(PE)ファンドは、潤沢な資金を保有しているものの、出口戦略(エグジット)が難しい企業の買収に慎重になっている。買収に先立ち、出口戦略を綿密に練るPEが多いという。 ブルックフィールドは、スペインの廃棄物処理会社ウルバセルの買収から手を引いたが、関係筋によると、最終的に売却する際の規模が大きくなり過ぎ、買い手が見つからない可能性があったことが一因だった。 UBSのEMEA(欧州・中東・アフリカ地域)グローバルバンキング責任者、ネスター・パス・ガリンド氏は「エグジットが難しくなっている」と指摘。欧州では今後も大型取引が行われるだろうが、そうした案件を手掛けるファンドは減るだろうとの見方を示した。 金融関係者は、来年のPEについて、投資に回していない資本の活用だけでなく、通常よりも長期間保有している資産の売却も迫られると予想。 欧州ではPEが出資する企業の売却入札への参加者が減少。ファンド間の企業の転売が難しくなっており、売却プロセスも長期化している。 バークレイズでEMEAの合併・買収(M&A)を統括するスティーブン・ピック氏は、PEのエグジットについて「一部の資産が巨額過ぎるという懸念があり、規模を縮小するため部門や株式の売却を検討するケースが見られる」と述べた。 ディールロジックのデータによると、EMEAでのPEなど金融スポンサーの取引総額は今年2970億ドルと、前年比で23%増加しているが、2021年のピーク時(5090億ドル)には遠く及ばない。 新規株式公開(IPO)市場は徐々に回復の兆しを見せているものの、プレキンのデータによると、昨年のPEの出口戦略に占めるIPOの割合は08年以来最低の7%。今年第3・四半期末時点でも9%にとどまっている。