「将来返せる自信がないから」と奨学金を2年で打ち切った大学生の娘。足りない分はアルバイトを増やしているらしいのですが、実際に返済できない人はどれくらいいるのでしょうか?
奨学金が返済できないときに利用できる制度
独立行政法人日本学生支援機構では、返済が難しくなった方向けに「減額返還制度」「返還期限猶予」の2種類の制度を利用できます。 ■減額返還制度 減額返還制度は、適用期間に応じて返済期間を延長することで、毎月の返済額を半額、3分の1、4分の1、3分の2に減額できる制度です。以下の条件に当てはまると利用できるようです。 ・経済的理由など(年収目安400万円以下など)により奨学金の返済が難しい ・申請および審査の時点で延滞していない ・口座振替加入者である ・毎月返済する方式を利用している なお、独立行政法人 日本学生支援機構「減額返還制度の概要」によると、「減額返還適用中に2回続けて振替不能となった場合は、延滞発生時にさかのぼって減額返還の適用取消となり、減額返還適用前の当初返還月額を延滞額として算出した延滞金を加えた額を返還いただくことになります。」とあるため、引き落とし日の口座残高には注意が必要です。 ■返還期限猶予 災害や失業などさまざまな事情で返済が難しくなった場合に、最大10年返済期限を猶予してもらえる制度です。延滞をする前に申請をし、審査が通れば認められた期間は返済の必要がないようです。もし審査に通らなかった場合は、通常通り返済が必要です。 なお、返還期限猶予はあくまでも支払いの先送りなので、元金や利子は免除されないようです。経済的な事情で返済額を少なくしたいときは、減額返還制度を利用しましょう。
延滞の経験がある人は20%以上いる
独立行政法人日本学生支援機構によると、令和3年度の調査時点で延滞をしていない人でも奨学金返済の延滞経験がある割合は21.5%いました。調査時点で延滞している方が12万8000人ほどいることも考えると、返済できないことは珍しくないことが分かります。 奨学金返済の延滞は経済的な理由で行われているケースが多い傾向にあります。もし奨学金を支払わないままにしていると、最終的に財産差し押さえに至る可能性もあるため、返済が難しいと判明した時点で対処が必要でしょう。 経済的理由であれば、減額返還制度や返還期限猶予制度を活用しましょう。また、将来支払えなくなることを防ぐため、奨学金を打ち切ることも有効な手段です。 出典 独立行政法人日本学生支援機構 令和3年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(4,36,42ページ) 独立行政法人日本学生支援機構 減額返還制度の概要 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部