ハワイのソニーオープンで思い出す 藤田寛之さんと1カ月の「ぜいたく合宿」で覚えた猛烈ホームシック【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】
【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#14 国内のツアープロはこの時期、スイングを改造したり、クラブを替えたり、筋トレに多くの時間を割いたりして新しいシーズンに備えます。 【写真】ゴルフ界の“ビジュアルクイーン”臼井麗香がコース新「63」の大爆発!前夜祭では「悩殺衣装」披露 プロキャディーが開幕を意識して何かやっているという話は聞きませんが、体が資本ですから、日頃からケアは欠かせません。僕は愛車のキャンピングカーが「ホテル」代わりなので、トーナメント会場近くの温泉や銭湯に入って車中に戻り、ハンディーマッサージ機で全身の筋肉を揉みほぐします。 筋トレ好きのキャディーはシーズン中も24時間営業のジムを探して鍛えています。ジムで顔見知りの男子プロと「バッタリ」というケースも珍しくないそうですが、今は女子プロだって大会期間中も走ったり筋トレをやっていますからね。 前にも触れましたが、今のキャディーは1人のプロと専属契約する者はほとんどいません。ゴルフ場から出れば別行動です。僕は1998年から15年間も藤田寛之さんの専属キャディーだったので、シーズンオフも行動をともにする年がありました。 藤田さんが初めて米ツアーに出場したのは2002年のソニーオープン(ハワイ・ワイアラエCC)。23位でフィニッシュし、試合後はそのままホノルルに滞在し、予定通りの長期合宿です。僕は日本を発つ前、初めて訪れるハワイに約1カ月もいることが楽しみで楽しみでテンションが上がりっぱなし。初めてディズニーランドに行く前の子供みたいでした。 合宿が始まると、午前中はホノルルの公園でランニングとトレーニング。午後からはホノルルの街から車で約50分のコースでラウンドです。朝食はホテルで取り、昼食はゴルフ場内のキッチンカーでスパムおにぎりなどを食べていました。僕は練習のお手伝いに雑用とキャディーが仕事です。 藤田さんは芹沢(信雄)さんの「お弟子さん」ということで、夜はホノルルに住む芹沢さんの知人が、中華や焼き肉、和食などいろんなお店に連れていってくれました。 1週間に1日は練習がお休みだったので、合宿初の休日にはアラモアナセンターなどに買い物にも行きましたが、楽しかったのはその1日だけだったな。 ハワイには観光に来たわけではないので、毎日、ホテルとゴルフ場を往復するだけ。太平洋にポッカリ浮かぶ島に長期間いることの違和感というか、慣れない環境に長くいるせいなのか理由はわかりませんが、過去に経験したことがない強いホームシックにかかってしまったのです。1人になったとき、「日本に帰りたいなあ」と思えば思うほど憂鬱になる。ハワイの滞在費は藤田さん持ちでしたからぜいたくな話なんですが、合宿の後半は気持ちがめいっていました。 数年後、新婚旅行で再びハワイを訪れたときは、「こんなに楽しいところだったっけ?」と印象がガラリと変わったものです。 今年のソニーオープンは現地9日に開幕です。毎年、ワイアラエCCのヤシの木を見ると、あの合宿を思い出します。 (梅原敦/プロキャディー)