フランス磁器の都「リモージュ」が日本の伝統工芸「金継ぎ」を再解釈したら…
「世界一の観光大国」と言われるフランスにも、外国人観光客がほとんどいない地域がある。ここまで来ると、「私も『フランス通』を自称できるんじゃないだろうか……」と思ってしまうような、正直に言って「奥地」だ。 【画像】ボルドー&リモージュで行くべきスポット 2016年、南西フランスの3つの地方が統合されて生まれた、フランス最大の地域圏「ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏」は、山あり、海あり、美食あり、歴史ありの「フランスの縮図」とも言える場所だ。何よりそこは、フランスを代表する数々の「サヴォア・フェール(伝統的な手仕事)」を生み、何世紀にもわたって守り続けている地方でもある。 言ってしまえば、「この地域を知らずして、フランスは語れぬ」、そんな地域なのだ。それなのに、あまりにも世の人に知られていない。 今回、そんな(ちょっと不遇な)地域に光を当てるというミッションのもと、ヌーヴェル・アキテーヌを巡ってきた。旅は、パリからTGV(高速鉄道)で2時間、ヌーヴェル・アキテーヌの玄関口「ボルドー」から始まる。そして、磁器と革の街「リモージュ」へ。当記事で紹介するこの二都市はまだメジャーな街の部類に入るだろう(意外なことにリモージュは、『地球の歩き方 2024-25』にも欄外にしか出てこないのだが……)。 後日公開の次の記事では、ラスコー洞窟を擁する「ドルドーニュ県(ペリゴール地方)」を巡る。最後は、織物の街「オービュッソン」へ。ジブリ映画のシーンを織った作品で、日本でも(少し)名前が知られるようになったこの街で、タピストリーの魅力にどっぷり浸かる。 結論から先に述べておきたい。パリや南仏に比べると、ヌーヴェル・アキテーヌは確かに多少地味で、交通の便にも少し苦労をさせられる。だが、「人に知られていない」地域ほど、「旅」そのものの価値を思い出させてくれる場所はない。インスタに消費され尽くしたフランスの景色はいったん忘れて、見たことのないフランスを探しに行こう。 ヌーヴェル・アキテーヌで待っているのは、現代に繋がる「古くて新しいサヴォア・フェール」と「驚き」。それはきっと、「フランスには何度も行ったことがある」という人も魅了するはずだ。