ECB総裁、利下げ後も金利は「直線的な低下軌道にはない」
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ECBは慎重な姿勢を維持する必要があり、先週の利下げ後に追加的な行動がすぐにあるとは限らないとの考えを示した。
ラガルド氏は欧州主要紙とのインタビューで「われわれは適切な決定を下したが、それは金利が直線的な低下軌道にあることを意味するものではない」と指摘。「金利を再び据え置く期間があるかもしれない」と述べた。
また政策金利はあらかじめ決められた軌道にあるわけではないとの考えを改めて示した。
「われわれは新たな見通しが立った時のみならず、あらゆる段階で再評価を行う」とラガルド氏は語った。インタビューは独紙ハンデルスブラット、イタリア紙イル・ソレ24オレ、仏紙レゼコーなどに掲載された。
ユーロ圏のインフレ率を巡っては「ディスインフレは十分に進行しており、向こう1年半にわたり継続すると考えている。そのため金利を引き下げる可能性がある」と述べた。ECBは来年末にかけてインフレ率が2%まで下がると予想している。
一方で「まだ勝利宣言はしない」ともラガルド氏は語り、サービスインフレを動かす重要な要因として賃金、単位当たり利益、生産性を挙げた。実体経済については「成長見通しは改善した」とし、「経済は力強さを増すだろう」と語った。
先週のECB政策声明で、現行の金融政策の引き締め度合い緩和に関して言及がなかった理由について問われると、緩和バイアスの排除はデータ次第だとの姿勢に基づいていると説明。不確実性が高いため「フォワードガイダンスは有益とはならない」と述べた。
さらに中立金利は「新型コロナウイルス流行前の水準を上回っている可能性が高いが、現時点ではまだほど遠い」とも述べた。従って「現時点で議論に着手するのは無意味だ」と続けた。
原題:Lagarde Says ECB Cut Doesn’t Put Rate on ‘Linear Declining Path’(抜粋)
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Mark Schroers