【バレー】春高バレー26年ぶりの出場を決めた進学校:高崎高(男子) ただひとりの3年生、幾多の思いを胸に臨むキャプテン岩井将人
“元気な1年生”の一人で、正確かつ強気なトス回しを武器とする司令塔・吉川楓人は、「どこに上げても決めてくれるという信頼関係があるので、このチームでバレーをするのがほんとうに楽しい」と顔をほころばせつつ、「まずはこのチームで1勝して、全国で勝つ喜びをちゃんと知りたい」と勝ちに対する強いこだわりを見せた。 砂川智哉監督が「次世代のエース」と期待を寄せる兒玉慶(1年)は、「将人さん(岩井)の影響で自分も成長できた部分がすごく大きい。将人さんとバレーができる最後の舞台だし、ふだんの練習、プレー、立ち居振る舞いもお手本にしているので、やっぱり将人さんと一緒に全国の舞台、春高で1勝したい」と思いは強い。
守備もできるオポジットという器用さが武器の新井蓮(1年)は、「兒玉と吉川とは小学校からの知り合い。JOC杯(全国都道府県対抗中学大会)でもいっしょに選ばれたので、同じチームにいるだけで心強いし、頑張っている分だけ上手くなっているから、“自分も負けられない”と励みになる」と、地元出身者が多いからこその強固な関係性を感じている。 チームの守護神である新井智憲(2年)は、「自分で点を取れない分、サーブレシーブやディグなどしっかりボールをつないで、仲間に決めてほしい」という思いで常にコートに立っているという。そんな新井は、学年は一つ違うが、実は岩井とは幼稚園から小学校、中学校、そして高校までずっと一緒の仲。春高が終ったあとは、新井がキャプテンを引き継ぐことが決まっている。「自分が成長しないとチームは勝てないと思う。キャプテンとして見習うところがたくさんあるので、一緒にバレーができる最後の舞台は、しっかりといい結果を残して最高の大会にしたい」と気持ちを込めて語る。
どの選手に話を聞いても、「日々の勉強と部活の両立は大変」という答えが返ってきた。だが、キャプテンとして、そしてただ一人の3年生としてチームを引っ張る岩井からは、大舞台と同時に受験も間近に控えた悲壮感などはみじんも感じられず、むしろ仲間たちと大舞台に立つことができる喜びや希望が全身からあふれている。「バレーボールに魅力を感じるのは、仲間が必死につないだボールにはすごく思いが込められていて、自分の思いもボールを通じて仲間に伝わること。頑張ってつないだ1本でお互いに気持ちが伝わるのがいちばんの魅力」。そう語った岩井は、同じコートに立つ後輩たちにしっかりとバトンをつなぎつつ、夏を最後に引退した同期の仲間たちの思いも胸に、最初で最後の春高に臨む。 高崎高は大会初日の1月5日(日)、Cコートの4試合目(12時40分開始予定)で、昇陽高(大阪)との1回戦に挑む。
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