「Love Letter」名シーンは「彼女の作品」…岩井俊二監督、中山美穂さんを悼む
映画監督の岩井俊二氏が、8日放送のフジテレビ系情報番組「Mr.サンデー」(日曜・午後10時)で、6日に急死した歌手で女優の中山美穂さん(享年54)への思いを明かした。 【写真】美穂さんの自宅マンションに入る妹・忍 岩井監督は、中山さんが一人二役のヒロインを演じ、報知映画賞など各映画賞で主演女優賞を総なめした「Love Letter」(1995年)や、2020年公開「ラストレター」でタッグを組んだ。「また一緒にやろうという話はしょっちゅうしていたので、それがかなわなくなった」と悔やんだ。 当時は演じてきた役柄もあり、岩井監督は「おきゃんな印象」を抱いていたというが、実際に会うと「お姫様、神々しい感じ」にイメージが激変した。 「Love Letter」の撮影では「本当にNGがなかった。1番驚いたことだった」と回顧。監督が丁寧に描いた絵コンテに沿った繊細な演出に応え、撮影中にせりふを変更してもしっかり切り替えて対応していたことが印象に残ったという。 唯一「あの演技だけは彼女の作品だなとすごく思います」と評した場面が、降りしきる雪の中で、「お元気ですか? 私は元気です」と叫ぶように呼びかけるクライマックス。岩井監督はあえて何の演技指導もせず中山さんに託し、邦画屈指の名シーンが生まれた。岩井監督は「本人の感受性と本人の理解でやった場面。あの場面では僕のものですらない」と中山さんの才能をかみしめていた。
報知新聞社