世界的写真家集団マグナム・フォトがユニクロと組んだ理由 「ストーリーを届けることを大切にしてきた」
「循環させながら、支援の輪を広げる」
ーーなぜ、ユニクロと組んだのか。また、写真家として、今回のチャリティープロジェクトの取り組みにどのような期待を抱いていますか?
オリヴィア・アーサー(以下、アーサー):「ユニクロ(UNIQLO)」はグローバルなブランドであり、プロジェクトを通して、私たちが今、伝えるべきメッセージを大勢の人に届けられること、それがその答えのひとつでしょう。
また、今回の取り組みは、マグナム・フォトにとっても新しく意義のある試みだったと思います。プロジェクトではまず、寄付金を集め、それを支援団体に送り、困っている人を助ける。そして、私たちが、その現場や周辺の人々の暮らしにカメラを向け、ストーリーとして伝えていく。また、それは、多くの人にとって、世界の状況を知り、それぞれアクションにつなげていくきっかけになるかもしれない。そうやって循環させながら、支援の輪を大きくしていくようなプロジェクトになっています。
そこに、マグナム・フォトが関わる意義は大きい。特に、マグナム・フォトはドキュメンタリー写真家の集団ですが、“ストーリー”を届けるということをずっと大切にしてきましたので。
ーー今回のプロジェクトで、アーサーさんはルーマニアの「セーブ・ザ・チルドレン」へ。現地で印象的だったことは?
アーサー:私が訪れたのは、ルーマニアのセーブ・ザ・チルドレンのカウンセリング・ハブ。隣国のウクライナから逃れてきた難民の子どもたちも受け入れているスペースで、子どもたちのための教育支援やメンタルヘルケア、食糧支援などの活動を行なっている場所です。
そこで、一連の支援活動についてのレクチャーを受けたあと、私は、そこで暮らす子どもたちに向けて写真のワークショップを行おうと決めました。具体的には、マグナム・フォトのアーカイブを印刷し、そこに子どもたちが自由にペイントを加えるような創作の場を用意したり、スペースに簡易的なスタジオを設け、子どもたちにお互いの写真を撮って遊んでもったり。また、そうやって子どもたちが作ったアートワークを、コラージュにしてまとめたりもしました。