日本が誇るおもてなし精神もついに限界か 「富士山ローソン」契機に外国メディアも論議
山梨県富士河口湖町で、外国人観光客に人気の富士山撮影スポット、通称「富士山ローソン」で目隠し幕が設置されたことを契機に、各国メディアが相次いで日本のオーバーツーリズム問題をとりあげている。 【写真】富士山を見えなくする黒幕を設置する作業員ら ■「崖っぷち」と報道 「日本が誇る『おもてなし』精神も崖っぷち」―。米紙ワシントン・ポストは、マナー違反続出で「富士山ローソン」に幕を張るという「極端な措置」がとられたとして、訪日客に対する日本人の不満の高まりに警鐘を鳴らした。新型コロナウイルス禍後の観光ブームに、急激な円安が訪日客増加に拍車をかけたと背景も伝えた。 日本のホテルやタクシー、商店では客を恭しくもてなす「おもてなし」が浸透するのに、個々の客に十分なサービスができなくなる懸念が出てきたと紹介。「観光客は、平和で情緒あふれる日本経験ができなくなる」と危惧する英国系の旅行業者の声を載せた。 ■「日本人の賃金低下、背景に」 米ブルームバーグ通信では、コラムニストのリーディー・ガロウド氏が、「富士山ローソン」でトラブルが相次いだ結果、「誰もその景色を楽しめなくなった」と嘆いた。訪日客が円安を享受する一方、「実質賃金が何十年も低迷し、現在も下がり続けている」ことが日本人の不満を増幅させていると分析した。「オーバーツーリズムがおもてなしに取って代わる前に、日本は問題に取り組む必要がある」として、訪日客への課税を提案した。 フランス紙フィガロも、「途方もない人気に戸惑う日本」と題する記事を掲載。円安で日本人の実質賃金が下がる中、「訪日客のせいでなじみのホテルや飲食店の値段が吊り上がった」ことに不満が高まっていると伝えた。地元客と訪日客で異なる二重料金を設けよという提案もあるが、反対意見もあると日本の論議を紹介した。 オーストラリア公共放送ABCは「富士山ローソン」の経緯とともに、「オーバーツーリズムは京都や鎌倉でも問題になっている」と伝えた。