44歳ボディービルダー、高校時代に通ったジムの経営を継承 手入れ入念、地域交流の場に
「マシンの使い心地が重要。気持ちよく筋トレしてもらうため、手入れは入念に」。開業前、室内にずらりと並ぶトレーニング器具を一台ずつ動作確認し、丁寧に拭き上げる。 【写真】24時間ジム急増、みんな何を鍛えてる? 京都府福知山市で30年以上続く「スポーツジムアトラス」を昨年9月に引き継ぎ、住民の健康増進に取り組んでいる荻野友亨(ともみち)さん(44)=綾部市延町。 「ぜんそく気味の体を強くしたい」と京都共栄学園高時代に決意し、同ジムに通い始めた。ジムの先輩と見学したボディービル大会で、彫像のような選手の肉体に憧れた。 社会人となって京都市内の工具メーカーで働き出しても、トレーニング熱は下がらなかった。個人経営のジムに通って大会に出場し続けた。 タイに赴任中の2020年、新型コロナウイルス禍が転機になった。繰り返されるロックダウンの実施と解除。先が見えない不安を払拭(ふっしょく)しようと退職し、22年に古里の綾部市に戻った。 二十数年ぶりに顔を出したアトラスで、オーナーや顔なじみの会員が「久しぶり」と温かく迎えてくれた。無心でトレーニングに打ち込み、昨年の府ボディービル選手権で初優勝。大会後、オーナーから高齢を理由に「ジムを継いでほしい」と打診され、新たな代表に就任した。 近年、府北部にも24時間営業のジムが増え、競争は激しい。経営者と二足のわらじをはきながら、今年の関西大会では体重別の70キロ以下級で頂点をつかんだ。 荻野さんは「アトラスの強みは地域コミュニティーでもある点」と強調する。本格的なトレーニングに打ち込む層から、体を動かしながら世間話を楽しむ層まで多様な人が集う場所を目指す。