アウディ、F1参戦前から“お家騒動”もヒュルケンベルグは厚い信頼。CEOから直々に連絡「リスペクトがある」
ニコ・ヒュルケンベルグは、来季の移籍を前にアウディF1首脳陣の交代についてゲルノット・ドルナーCEOから電話で知らせを受けたことが「リスペクトを示している」として、アウディがF1プロジェクトにコミットしていると強調した。 【動画】アウディ、F1参戦発表に際しショーカーを公開 アウディは現在のザウバーを買収する形で2026年からF1に新規参戦。現在ハースで戦うヒュルケンベルグは、アウディワークス最初のドライバーとなるべく、2025年からザウバーへ移籍することとなった。 ただ、ここ数週間アウディのF1プロジェクトをめぐっては“お家騒動”が発生。社内で権力闘争を繰り広げたと言われるアウディF1のアンドレアス・ザイドルCEOと取締役会会長のオリバー・ホフマンのふたりが解雇された。 それを受けて、かつてスクーデリア・フェラーリを率いたマッティア・ビノットが最高執行責任者(COO)および最高技術責任者(CTO)に就任。レッドブル・レーシングでスポーティングディレクターを務めるジョナサン・ウィートリーが、新たなチーム代表として加入することとなった。 ヒュルケンベルグはアウディのドルナーCEO本人から連絡を受け、首脳陣の変更について知らされたという。 直接の連絡がどれほど重要だったかを訊かれたヒュルケンベルグは次のように答えた。 「重要かどうか分からないけど、良いことだと思うよ」 「リスペクトを示していると思うし、彼やブランドがどれだけ真剣に取り組んでいるのか、このことを軽視していないか、注意を払っていることを示すモノだ。彼らは何が起こっているのかを理解している。とても良いことだ」 ヒュルケンベルグにとって、アウディのF1プロジェクトを牽引することは、驚くべきキャリアの転機を意味する。 2020年シーズン終了後にルノーから放出されたヒュルケンベルグは、レーシング・ポイント、その後身であるアストンマーティンでリザーブドライバーとして3年間を過ごすこととなった。 ただCOVID-19の大流行によって代役出場の機会を得たヒュルケンベルグは、コース上で印象的な走りを残し、ミック・シューマッハーの後任としてハースからF1復帰を果たした。 ヒュルケンベルグがF1キャリアを通じて、様々な障壁に直面してきたことは明らかであり、アウディのF1プロジェクトも同様だ。 「大きな挑戦であることは間違いない」とヒュルケンベルグは言う。 「アウディになること、ドイツのメーカーになること、ドイツ人ドライバーであること、そして多くの注目を集めること……それは簡単なことじゃないはずだ」 「でも僕の仕事の取り組み方や定義は変わらない。自分の持てる力を出し切って、マシンの中でも外でも、できる限りをするつもりだ」 「それが僕の好きなことだし、できれば一丸となって成功させたいね」 アウディ陣営への加入はヒュルケンベルグにとって、カスタマーチームであるハースでは得られないチャンスを生み、伸びしろという面でも可能性に満ちている。ただ、マイナス方向に振れる危険性もあるとヒュルケンベルグは警戒した。 「もし上手くいかなければプレッシャーは大きくなるし、スポットライトを浴びることになる」とヒュルケンベルグは言う。 「PR活動も多くなるし、こちら側の要求も高くなる。でも大きなチャンスだし、天井はもっと高いよ」
Ewan Gale