ボルボが新しい技術スタック、ボルボ・カーズ・スーパーセット・テックスタックを新型EX90以降のモデルに採用
ボルボ・カーズはこのほど、スウェーデン・イェーテボリで開催されたキャピタルマーケットデイにおいて、テクノロジーに対するゲームチェンジャーとなる新しいアプローチを発表した。この新しいアプローチは、ボルボのエンジニアリングの努力をひとつの方向に集中させることにより、時間とともに進化する車を作り、ボルボの将来を決定づけるものだ。 ボルボ・カーズ・スーパーセット・テックスタックはシステム、モジュール、ソフトウェア、ハードウェアのからなる単一の技術とソフトウェアの基盤。積み木のように、さまざまな方法で構成することが可能 今年6月から生産がスタートし、今後日本にも導入が見込まれている新型SUV、EX90を皮切りに、ボルボの将来のEVはボルボ・カーズ・スーパーセット・テックスタックと呼ばれる、システム、モジュール、ソフトウェア、ハードウェアのからなる同一の基盤コアをベースとすることになる。 これは、将来の製品ラインナップで使用するすべてのモジュールと機能を含む、単一の技術とソフトウェアの基盤で、積み木のように、さまざまな方法で構成することができる。 新型車はそれぞれ、スーパーセット・テックスタックの構成要素からの抽出(セレクション)、あるいはサブセットとなり、同社は技術スタックを継続的に改善し進化させていく。 このアプローチにより、すべてのエンジニアリング作業がひとつの技術スタックの改良と強化に集中できるため、車を確実に進化させることができるようになる。つまりEX90の開発は、すでに2025年に市場導入が予告されている新型車のES90に直接役立ち、ES90の開発は、その後に登場するEX60の開発にも、そしてEX90の改良にも活かされる。 https://youtu.be/KoELmj5_blE ボルボ・カーズのエンジニアリング&テクノロジーの責任者であるアンダース・ベル氏はこのように述べている。 「ボルボのスーパーセット・テックスタックは、真のゲームチェンジャーです。特定の車のプロジェクトに取り組むのではなく、すべてのエンジニアリングの努力を、すべての製品を生み出すひとつの方向に集中させることができます。私たちのエンジニアはひとつのスーパーセットに取り組み、その機能と特徴を常に改善し、進化させ、拡張していきます。これにより、品質が劇的に改善され、市場投入までのスピードが向上し、お客様により良い車を提供し続けることができるのです」 スーパーセット・テックスタックのアプローチは、ひとつのブランドをさまざまな製品バリエーションで提供することを可能にし、ボルボの車づくりに対する包括的な考え方を象徴している。同社では現在、データ、コネクティビティ、ソフトウェア、そしてコアコンピューティングに基づく“クローズドループ開発”を行なっている。コアコンピューティングへのシフトは、電動化へのシフトと同じくらい重要だ。車の電気システムに接続されるあらゆるものに影響を及ぼし、その潜在的なメリットは無限にある。クローズドループ開発のプロセスを構築することで、開発センターのエンジニアだけでなく、車内のリアルタイムの状況把握や高度な計算能力よって、車のあらゆる側面を限りなく、そして徹底的に改善し続けることが可能になる。 現在、次世代プラットフォーム SPA3を開発中。初採用するのは今後発売されるEVのミッドサイズSUV、EX60! ボルボ車にとって重要な構成要素のひとつに、電動技術プラットフォームが挙げられる。これは、最新の駆動システム、電気システム、電子システムの組み合わせであり、その上に車が構築される。次世代モビリティのリーダーになるために、同社はボルボ・カーズ・スーパーセット・テックスタックをベースとした“SPA3※”と呼ばれる新しい電動技術プラットフォームを開発中だ。SPA3をベースとする最初の車は、今後発売されるEVのミッドサイズSUV、EX60だ。 ※SPAとはスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャーの略 SPA3は、SPA2の構成要素の多くをベースとし、いくつかの重要なアップグレードを導入する。例えば、コアコンピューティング機能が強化され、技術スタックを通じてより高いパフォーマンスを確保し、機能を向上させることができる。最も重要な変更点は、SPA3アーキテクチャーが前モデルよりもはるかにスケーラブルに構築されていること。つまり、必要があればEX90より大きい、あるいはEX30より小さいような、あらゆるサイズの車を同じ技術プラットフォームを使って継続的に開発、製造することができるのだ。SPA3のモジュラー性とアップグレード可能性により、売上高に対する投資コストを低く抑えることができ(変動幅も小さくなる)、ひいては将来のキャッシュフローの強化につながると同社では考えている。 このスケーラブルなSPA3アーキテクチャーは一方で、コアコンピューティング、バッテリー、電動モーター、メガキャスティング、モジュール製造において相乗効果を高め、技術効率を向上させる効果で、車両生産のコストを大幅に削減することも可能だ。
MotorFan編集部