タッチ決済が全国の鉄道やバスで急増。システムを支える「ステラトランジット」とは?
タッチ決済=キャッシュレス時代の移動を下支えする決済ソリューション
ICカードによる前払い方式が主流だった鉄道やバス路線で、タッチ/QRコード決済の実証実験や社会実装が加速している。2023年半ばから実証実験が始まったが、関西・西日本方面からいまや全国の鉄道・バス路線で導入事例が急増している。そのほとんどで採用されている決済ソリューションが、「ステラトランジット(stera transit)」。これを提供している三井住友カード株式会社は、2025年末までに全国で7割のシェア獲得を目指している。(タイトル画像は関西エリアで導入されているシステム) 【写真】実証実験・社会実装がはじまるタッチ決済 ステラトランジット(stera transit)とは、三井住友カード、GMOペイメントゲートウェイ、GMOフィナンシャルゲートおよびVisaが共同で構築し、三井住友カード株式会社が提供する公共交通機関向けの決済ソリューションのことだ。 いままで普及していたSuicaやPASMOなどのICカードは事前のチャージが不可欠だったが、ステラトランジットの導入によりクレジットカード各社と連携した非接触決済(いわゆる「タッチ決済」)による後払い方式が可能になった。2020年7月に茨城交通高速バスで国内初導入され、2024年10月時点で31都道府県、104社(うち大手私鉄16社、公営地下鉄8社)に採用が急拡大している。三井住友カードでは、2025年末までに70%の利用率を目指している。 利用方法は実に簡単だ。タッチ決済対応のクレジットカード/デビットカード/プリペイドカード、またはカードが設定されたスマートフォンを改札機や車内設置された専用リーダーにかざすだけ。専用の事前登録は不要だ。すでに世界の主要都市では、タッチ決済による交通利用が普及している。 日本でも飲食店やスーパー、コンビニなどでキャッシュレス決済の利用が普及し始めたが、公共交通機関への導入が始まったことで本格的なキャッシュレス社会、ひいては近い将来のMaaS(Mobility as a Service)の実現やスマートシティの認証基盤にも活用が広がっていくだろう。