巡った温泉は約3,000以上…『温泉百名山』の著者が選んだ“人生最後に入りたい温泉”とは?「ここで昇天してもいいくらい」
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。10月20日(日)の放送は、温泉紀行ライターの飯出敏夫(いいで・としお)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
◆「ここで昇天してもいいくらい」と絶賛する温泉とは?
飯出さんは、1947年生まれ、群馬県出身の77歳。温泉を取材して40年以上を誇る、いわば“温泉のスペシャリスト”です。 今なお現役を貫く自身の肩書きについて、「温泉界には別にルールがないので、名乗ったもの勝ちみたいなところはありますね(笑)。普通は温泉ライターと言うんですけど、私の場合は実際に現地に行って、自分で見て、感じて、書くのをモットーにしているので、あえて“紀行”と入れました」と説明します。 これまでに飯出さんが巡った温泉はおよそ3,000ヵ所。「宿泊施設があるところが温泉地として定義されていて、最近多くなった日帰り温泉施設はカウントされていないんですよ。温泉地として数えられるのは約3,000ですが、日帰り温泉施設を入れると、8,000とか1万とか……それはものすごい数になります」と飯出さん。 そして、この日は自身が2022年10月に出版した著書「温泉百名山」(集英社)についても言及。こちらは、長らく温泉を取材してきた飯出さんが名湯のある名山を100座選定した1冊です。 この本の執筆に至ったそもそものきっかけは、70歳のとき、日本百名山を登り終えた飯出さんは“次の目標は何にしようか”と考えていた際、「ずっと温泉の仕事をしてきましたので、温泉のある百名山はどうかと。日本百名山は半分くらい温泉がないんですよ。なので、温泉のある名山を100選んで、まとめてみたいなと思ったんです」と振り返ります。 そんな思いから、飯出さんは2018年から4年かけて自らが選定した温泉百名山を制覇。掲載している写真もすべて自身が撮影したもので、山頂まで登山をしたあとの温泉は、「ただ温泉巡りをしていたときに感じる温泉とはまったく違いますね。格別です」と飯出さん。 ここで小山が、「初心者が比較的楽に登れて最高の気分を味わえるのは、どこの山になりますか?」と尋ねると、飯出さんは長野県・高峰高原にある高峰温泉を挙げます。 「標高約2,000メートルの稜線上にある温泉宿なんですけど、そこから登る東篭ノ登山(ひがしかごのとやま)という山が、大体温泉から50分ですかね。登山口まで温泉から歩けば1時間。ただ、登山口までは車でも行けるんですよ。そうすると約50分で山頂に立てる。そこの山はすごいパノラマビューです」と太鼓判を押します。 さらに小山からは「飯出さんは、人生最後に入る温泉は決めているんですか?」との質問が。これに飯出さんは、「2つあります」と答えます。 1つ目は、秋田県・乳頭温泉郷の鶴の湯温泉。「温泉のあらゆる魅力を凝縮している温泉だと思います。特に足元から湧く露天風呂で、しかもぬるめで。ここで昇天してもいいくらい。雪の日が一番いいと思います。特に雪の鶴の湯は最高」と絶賛します。 そして、2つ目は群馬県・法師温泉の長寿館。「この2つが“両横綱”だと私は思っています。両方とも下からお湯が湧く足元湧出泉です。一番鮮度がいいですからね。温泉の究極のスタイルだと思います。しかも少しぬるめでゆったり入れる」とその魅力について語りました。 そのほか、飯出さんには、日本で一番標高の高いところにある温泉や歩きでしか行けない温泉など、いろいろな温泉百名山を紹介してくれました。 (TOKYO FM「日本郵便 SUNDAY’S POST」2024年10月20日(日)放送より)