アートで越える障害、パニックが減り集中できる時間も長く…30年以上指導の画家「可能性を知ってほしい」
2015年から大野城市と共催しているのが「みんなのチャレンジアート展」。英語に、障害児を「チャレンジド チルドレン(挑戦すべき課題やチャンスを与えられた子)」という前向きな呼び方があるのを知り、「挑戦しながら成長していける」との願いを込めた。
教室には現在、福岡、佐賀から約70人の障害児・者が通う。これまでに12人が個展を開催し、5人が作品集を出版するなど活躍。その代表格の太田さんは、10月に常設のギャラリーをオープンしたほか、現在放映中のTBS系列ドラマ「ライオンの隠れ家」で自閉スペクトラム症の青年が描く絵画として、動物などを描いた作品が用いられている。
発達障害があり、小学3年から通う本村一歩さん(27)も活躍する一人。当初はじっとしていられなかったが、絵の模倣を何度も繰り返すうちに、自分で題材や色合いを決めて描けるようになり、集中できる時間も延びていったという。
当時は「周りに迷惑ばかりかけて生きていても仕方ない」と思い詰めていたという母・千鶴さん(61)は「先生は、一歩のことを我が子のように、うれしそうに褒めてくれた。認めてもらえて、私たちも救われました」と話す。
展覧会は12月1日まで。太田さんや本村さんも出品しており、松澤さんは「美しい心をまっすぐに表現できるすばらしさを感じてほしい」と話している。