センバツ2024 阿南光 東海王者に快勝 徳島勢、10年ぶり初戦突破 /徳島
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第2日の19日、32年ぶり2回目の出場となる阿南光(徳島)は1回戦で豊川(愛知)に11―4で快勝した。阿南光は前身の新野が初出場した第64回大会(1992年)以来の勝利で、徳島勢の初戦突破は第86回大会(2014年)の池田以来10年ぶり。昨秋の東海大会王者を撃破し、現校名での甲子園初勝利に三塁側アルプス席は沸き立った。阿南光は第6日第3試合(23日午後2時開始予定)の2回戦で熊本国府と対戦する。【来住哲司、小坂春乃】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 阿南光打線が序盤、好機を着実に生かした。一回に1番・福嶋稟之介、2番・西村幸盛の連続短長打で無死二、三塁から、3番・福田修盛と4番・住江慶次郎の連続内野ゴロで2点先取。二回2死後には四死球などで満塁とし、西村が左翼手の頭上を越す走者一掃の適時二塁打を放った。 三塁側アルプス席で福田の父、章さん(49)は「何とか1点挙げてくれた」とホッとした様子。新野としてセンバツ初出場時の遊撃手でもあり、「親子2代の甲子園出場は率直にうれしい」と顔をほころばせた。西村の父、守さん(51)も息子の活躍に「うれしくて、もう泣きそう」と両目をタオルで拭った。 5点の援護を受けてエース右腕・吉岡暖(はる)も六回まで1安打に抑える好投。吉岡の父で硬式野球部保護者会長の直人さん(46)は「いい感じで投げている」と目を細めた。 打線が三回以降攻めあぐね、吉岡も七回以降に捕まって八回には2点差に詰め寄られた。だが、ここで選手たちは底力を見せた。 九回無死から西村以下の3連打で1点。その後もつながり、この回打者11人で大量6点を挙げた。左前適時打の住江は「安打を打たなければ4番の立場はないかなと思っていた」だけに、第5打席での初安打を喜んだ。その裏、吉岡が相手の反撃を1点でしのぐと、アルプス席を大歓声が包んだ。直人さんは「ファーストストライクを狙われたが、よく投げた」とたたえた。 10安打11得点と効率の良い攻撃で、東海王者をねじ伏せた阿南光。1990年代に甲子園で強豪を破るなどして「ミラクル新野」と呼ばれたが、その再現の予感が漂う好発進だ。 ◇主戦ゲーム作る ○…阿南光のエース右腕・吉岡暖は終盤に打ち込まれたものの、11三振を奪って4失点完投。「しっかりゲームメークができた」と振り返った通り、序盤に飛ばして試合の流れを作った。八回に、警戒していた相手3番打者に右越え2ランを浴びたが、再び相対した九回2死満塁で空振り三振に仕留めて「リベンジできた」。中学時代に地元の硬式野球チームで全国制覇し、その仲間たちと阿南光に進学した。冬場に2段モーションに改造した投法も板につき、次戦に向けて「ペース配分を考えていきたい」とさらなる好投を誓った。