自治会費を支払わない住民に支払いをお願いすることはできますか? 会費が十分に集まらず困っています…。
自治会への加入を強制してはいけないと認められた裁判事例
自治会への加入を強制できないことは、裁判でも認められているケースがあります。 例えば、平成17年に最高裁により自治会を自由に退会してもよいと認められた裁判事例があります。埼玉県営住宅の自治会と住民のあいだで発生したトラブルで、自治会側が裁判所に訴えを起こした事例です。 住民は、当初自治会費を支払っていましたが、役員に対する不満から支払いをしなくなり、最終的に退会を申し出ました。しかし、自治体側が退会を認めず、未納分の自治会費を支払うよう裁判を起こしたものです。 結果として、最高裁は退会を伝える前の自治会費は支払う必要があるが、住民側からの一方的な申し出でも退会は認められるとしました。 平成26年判決の別の事例では、自治会への加入を何度も迫られた住民側が訴えを起こし、福岡高裁が自治会側に慰謝料の支払いを命じています。 この事例では、自治会に加入しない住民に対して「居住する資格がない」といった内容の文書を渡し、何度も執拗な勧誘を行っていたそうです。住民側は、自治会加入を強制され続けたことで精神的苦痛を与えられたとして訴えを起こし、裁判の結果、不法行為責任が認められ5万円の慰謝料が支払われました。 自治会へ勧誘する行為自体が問題になるわけではありません。ただし、あくまで任意団体であり加入を強制できるものではないことを念頭に、勧誘を行う必要があるでしょう。
自治会費の支払いは強制できない
自治会は任意団体であるため、加入の強制はできません。住民が自治会に加入していないのであれば、自治会費の支払いを強制することもできないでしょう。 自治会と住民との裁判事例によれば、住民に対し自治会を退会する前の会費は支払うよう命じているケースもあるため、加入時点からの未納分があれば、支払ってもらえる可能性があります。 自治会へ加入しているにもかかわらず支払いが行われていない場合には、トラブルを避けるためにもまずは弁護士に相談することを検討しましょう。 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部