松田 凌×植田圭輔「板の上で、身も心も投じる」10年越しのタッグで決めた覚悟【舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯】
血反吐はこうが、身も心も投じることが「一番の近道」
──ではここで少し作品と離れるのですが、舞台『刀剣乱舞』をはじめとするいわゆる「2.5次元舞台」というものの「今」について、おふたりが感じていることをお聞かせいただけますでしょうか。「2.5次元」が演劇界で色物扱いされた時代から、今は新しい演出方法や舞台装置の誕生や、能力値の高い役者を輩出したり、演劇ファンの人口が増えるといった演劇界全体の底上げにつながっていると感じています。おふたりは幅広いかたちの演劇作品に出演され、内側からも外からも見ていくなかで、「2.5次元の現在地」をどう見ていますか? 植田 「舞台に触れる」とか、「足を運んで生の芝居を観に行く」機会が増えたということはあると思いますね。「2.5次元」という言葉が生まれてから、さらにいろいろな作品が舞台化されていって。動いているお金も大きいだろうなと感じています。そうなってだいぶ経ちましたけど、ムーブメントとして、単純に本当にすごいことなんだなと、中にいても感じますね。 松田 メディアのみなさんが俳優や作品を紹介しやすくなったり、応援してくださっている方々が足を運びやすくなったりすることはすごくいいなと思うんですが、僕たち俳優は絶対に、「作品の差別化」をしないほうがいいと思っています。 根本的には、なんの作品でも真っ当にやるしかないと思っていて。お芝居以外、何もできることがないような自分たちだけど、ただ選ばれてやってきた、それだけのものは必ず生み出すっていうことを10年くらいやってきて。それを今作また、舞台『刀剣乱舞』という世界でみなさんに観ていただくだけ。 舞台上とか、お客様に届くものを作るときには、誰よりも真剣に。血反吐はこうが、身も心も投じてやることが、一番のまっすぐな近道だと僕は思っています。業界に対しても、おそらく自分たちの人生に対しても。 ──板の上に立つおふたりにとっては、いつどんな作品だろうと変わらず芯を持って、ただ自分のすべきことを全うするだけ。 植田 はい! 松田 そんな自分たちの出すお芝居を、楽しんでいただければと思います。