松田 凌×植田圭輔「板の上で、身も心も投じる」10年越しのタッグで決めた覚悟【舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯】
「芯を持ってやってきた人間同士」の共演
──出会って10年以上、変わらずリスペクトし合えるというのはかけがえのない関係性ですよね。もう少し深くお話を聞きしてよいでしょうか? 植田 はい……長い付き合いですし、恥ずかしいですけど(笑)。出会い方も、俺らは最初オーディションで会ってるしね。 松田 そうだね。でもそこからずっと、植ちゃんのお芝居に対しての情熱とか気概……「俳優としての覚悟」みたいなものってたぶん、ほかと一線を画すくらいの燃え上がりがあるなと感じています。 さっき植ちゃんが言ってくれたような「理想像」みたいなものを体現できる人ってなかなかいなくて。でもそれを体現していくからこそ、僕たちはありがたくもこうやって5年、10年、この先も俳優ができているのかもしれないですけれど。自分が出会ってきた中で、最も強くそれを感じたひとりが植ちゃんだったんですよね。 植田 (照れて)ありがとうございます! 松田 最近共演した作品でも、物語に大きく関わっていく役で、なおかつ自分にとって一番つらい物語を演じていたんですけど。植ちゃんは、すごく戦っていました。 息もからがらななか舞台袖にはけてきて、息を自分で整えて、次がもう涙しちゃうっていうシーンとかでも、誰に迷惑をかけることもなく、もちろん文句を言うこともなく、自分のプロとしての仕事を全うしていた。「これこそ植田圭輔だよな」ってより惚れ直しました。 だから今、植ちゃんが話してくれたことを聞いて、お互いにシンパシーを感じていたんだろうなと思って。それがすごくうれしかったです。 植田 凌のすごさはもう、俺が今さら言うことじゃないというか。みんなわかっていることなんですけど……凌は与えられた役割の全うの仕方がうまいんですよね。 あとはすごく端的な言葉でいうと、板の上で出す「覇気」。これはもう、本当に持っている人にしか出せないものなんですが、凌は昔からそれを持っている。どれだけ芝居がうまくても、やっぱり覇気がないと目を引かないんですよ。これも多分、だいぶ自分を追い込んで体現していることなんだろうなっていうのを、俺も舞台『K』(2014年)のときから思っていました。 ──舞台『K』は、舞台『刀剣乱舞』と同じ末満健一さん脚本・演出作品で、第1~2作の座長を松田さんが務められていましたね。10年の時を経て再び松田さんを座長に、今度は舞台『刀剣乱舞』の座組で今のおふたりのお芝居を見られるのが楽しみです。 植田 お互いの生き方なりに芯を持ってやってきた人間同士、大人になってもう一回会って「さあ、どんなもんじゃい」ってことだと思うんですけど。これってすっごいおもしろいですよね。 でも実は、舞台『K』はもちろん凌が真ん中(主演・座長)をやる作品は何度か出させていただいたことがあるんですけど、意外とあまり絡まない役だったりして。今回、がっつり会話できそうだなっていうのがまず、めちゃめちゃ楽しみです。 松田 植ちゃんの言うとおり、これまで大きく絡めることってずっとなかったんですよね。だから楽しみたいです。もう信頼しちゃってますし(笑)。 もちろん、ちゃんとお客様に観ていただくものにするために汗水流しますし、道としては茨のほうを通っていきたいんですけど。そんな中でも「植ちゃんとだったら」って思います。ほかのキャストもみなさん、茨の道だろうが笑って楽しんでやろうって思える方々なので、自ずと背中を預けられるんじゃないかなって思っています。