テクノロジーの進化が可能にした、「龍が如く ~Beyond the Game~」の撮影舞台裏を監督に聞いてみた
ゲーム原作を実写化するにあたっての「取捨選択」
ーーゲームを基に実写化されるにあたってそういった世界観の構築の取捨選択はどういった基準でされていましたか? 武監督 :僕はどちらかというとリアリストの方なので、自分の頭の中とか見たものとか経験で知らないものはあまり描けないんです。見てる人は漫画やアニメーションをどう実写化にして再現するっていうところにベクトルが向かっていきますが、そこばかりになるとバランスが悪い。 それよりも物語の中にあるストーリーやその人たちの感情の伏線だとか、映像の撮り方だとか、作品としての面白がり方とか、つまりゲームを知らない人が見たときに果たして楽しめるのかというところも含めて、バランスを取っていかなきゃいけない。 例えば真島というキャラクター。これは徹底的にゲームの再現ができるキャラクターだと。そこは追及した方がいいんですが(主役の)桐生一馬役の竹内(涼真)さんにゲームの桐生一馬になりきってくださいって演出はなかなか難しいわけです。だとすると「あなたなりの一馬をやろうよ、できればいいんじゃない」っていう。 ーー20年前に発表されたゲームの『龍が如く』の桐生一馬ではなく、現代で作られたからこその『龍が如く ~Beyond the Game~』の桐生一馬という感じですね。 武監督 :新しい桐生一馬はどういう風に誕生するかっていうのを僕らで作り上げていってあげたらいいんじゃないかなと。再現することばかりのバランスだとゲームのファンにとっては物足りないかもしれないけども、そこだけではないっていう我々が作っていくモチベーションみたいなものも必要になってくるんじゃないかなと。 ーーゲームを知らない新規のファンとしても楽しめました。今の時代のヤクザドラマだなと。 武監督 :だって矛盾してるんですよ桐生一馬は。桐生は「俺は誰も殺さないって」という思いがあり、そこは僕も意識しました。これからの時代っていうのはああいう主人公が必要なのかもしれない。矛盾してる主人公っていうのはちょっと考えていました。そういう人がこれから出てこないとやっぱりこの厳しい世の中なんか解決していかないんじゃないかなって。それを思いついただけでも今回はよかったと思っています。 「龍が如く ~Beyond the Game~」はPrime Videoで独占配信中。 Source: Amazon
山﨑 拓実