〈補償・保護対象外〉に要注意!…金融機関の“破綻”で財産を失わないための対処法【CFPが助言】
株や債券の発行会社が倒産した場合
証券会社でなく、株や債券を発行している会社が倒産した場合、それらの株や債券を保有していた投資者は大きな損害を受けることとなります。一般的に、株などの発行会社が倒産した場合、市場での売却ができなくなります。利息の支払い・元本の償還が行われなくなるため、価値はほぼ無くなってしまいます。このような損失はどこからも補償されません。 株や債券を保有している場合、常に発行会社の動向を確認する、倒産する前に売却するなどといった適切な判断が必要となります。 証券保管振替機構「ほふり」の場合 「ほふり」と呼ばれる証券保管振替機構は、証券会社から投資家の株などを預かって集中保管し、名義書換や受け渡しから発行会社への通知などを実施します。 「ほふり」は非常に重要な役割を果たしています。金融庁などからの監督を受け、問題が見つかれば、すぐに是正される仕組みとなっているのです。万が一「ほふり」が破綻したとしても、株などの権利はすべて投資家にあるため、投資家が損害を受けることはないのです。
銀行が破綻した場合
預金として、お金を預けている銀行が破綻した場合でも、セーフティーネットが用意されています。保護の範囲として、利用されることが一般的に多い普通預金・定期預金・当座預金・定期積立などに関しては、1金融機関につき、1名あたり元本1,000万円までとその利息が保護される決まりです。 〈例〉破綻したX銀行に、1人で複数の支店などに口座を所有していた場合 ・その元本の合計が1,000万円超の場合→保護されるのは元金の合計1,000万円とその利息のみに限定 ただし、 ・家族それぞれの名義で別の口座を所有している場合→各個人ごとに1,000万円までの元本と利息分が保護される ・一度預金が保護された後、別のY銀行が破綻した場合→Y銀行に預けている元本1,000万円までと利息も保護される 現金が1,000万円より多くある場合は、各銀行の預金額を1,000万円以下に分散しておけば、確実に預金を保護できるといえます。 銀行が破綻した場合、保護の対象となるものは国内にある預金に限られます。したがって、海外支店の預金は保護の対象外となるため、返ってくる保証がありません。また、外貨預金や譲渡性預金~保護預かり専用以外の金融債、元本補填契約のない金銭信託も保護の対象外となります。 ペイオフとは? ペイオフとは預金者保護のために行われるもので、破綻した金融機関に代わり、預金保険機構が預金を払戻す制度のことをいいます。 1971年に制度が創設後、2010年の日本振興銀行の経営破綻によって、初めてペイオフが発動されました。
ゆうちょ・農協・漁協などの場合
民間の銀行と同様、ゆうちょや農協、漁協などの貯金も元金1,000万円とその利息は保護されるルールです。 ゆうちょでは他の銀行と同様、預金保険制度に加入しており、農協や漁協では農水産業協同組合貯金保険という類似制度に加入しています。 ●銀行や信用金庫・信用組合などに預けるお金は預金 ●ゆうちょ銀行や農協・漁協に預けるお金は貯金 といいますが、内容に差異はありません。 中山 国秀 生活設計本舗 秀ちゃん ファイナンシャルプランナー
中山 国秀