人前での緊張を和らげる「安心問答」とは? 10代に伝えたい禅の言葉
クラスメイトの前で自己紹介をしたり、何かを発表したり…学校生活では、人前で話す機会がたびたび訪れます。得意な人なら問題ありませんが、苦手な人にとっては苦痛でしかありませんよね。 【マンガ】思春期の男子が抱える「体のコンプレックス」にどう向き合う? こういった場面で人一倍緊張してしまう10代に知ってほしいのが、「安心問答」という禅の言葉です。 書籍『ZEN(禅)スタイルでいこう!』より、10代の悩みに寄り添う禅の言葉を、中学生たちのストーリーに沿ってご紹介します。 ※本稿は、石井清純監修、水口真紀子編著『ZEN(禅)スタイルでいこう!』(キーステージ21)から、一部抜粋・編集したものです。
新学期開始!自信が持てず、友達ができるか不安な陽向の場合
クラス替え後の恒例、みんなの前で自己紹介……。誰も私になんか注目してない、っていうのはわかってる。 それでも、どうしても自分の番が近づくにつれて手が震えてくる。顔が赤くなって、頭は真っ白で、目の前は真っ暗になる。毎年毎年、オドオドしてるうちに名前だけを言うのが精いっぱいで、何を話してもシドロモドロ。 はい、この点においては三年生になっても、まったく成長できておりません、申し訳ない。 毎年、四月の始業式は、同じ気持ちで門をくぐるんだよなぁ……。 「それでは、新しいクラスになったことだし、この辺でみんなに自己紹介をしてもらおうかな。自分の名前と、趣味、そして三年生の目標かな!」 なんで先生は笑ってるの!? これが私にとってどれだけ苦痛なことか! 趣味らしい趣味なんてないし、後ろ向きな目標なら挙げればきりがない。そもそも誰も私みたいな暗いオタク腐女子に興味なんてないよ……。 死刑執行までの時間は刻々と近づいてくる。緊張で吐きそう。どうしてみんな自信たっぷりにウケを狙ったり、カワイイ顔とかできるの?消えたい……。 きた。私の番だ。ええい、まな板の上に乗ってしまえば、あとはトドメを刺されるまでよ。 「藤原陽向です……。しゅ、趣味は……、アニメです。目標は……友達を作ることです……。よろしくおねがいス・ます……」 マズイ。また噛んでしまった、緊張すると出ちゃう悪い癖。 死刑執行。漏れる失笑。しかも自分で執行した気がする。女子ヒエラルキー1位の承子ちゃんが鼻でフンッって笑ったのが聞こえた。