国民民主党の玉木氏、榛葉氏ら15人が旧文通費を自分の政治団体に「セルフ寄付」…使い道が見えない状態に
国会議員に毎月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧・文通費)の在り方を見直す法改正が2024年12月に行われ、2025年8月から適用されることになった。これまでは使途の公開が義務付けられていないことから「第2の歳費」「もう1つの財布」と言われてきた。何に使われていたのか分からないケースが多く、その資金を自分の政治団体に寄付する議員も少なくなかった。いわゆる「セルフ寄付」である。 【写真】使途公開のはずが見えなくなってしまう「セルフ寄付」国民民主党の議員はどのように? セルフ寄付とはいったい何か、どこが問題なのだろうか。調査報道グループ・フロントラインプレスは、昨年から所属国会議員の使途公開を始めた国民民主党を対象として、セルフ寄付の実態を追った。すると、昨年秋の衆院解散前の時点で同党の国会議員17人のうち、実に15人が「セルフ寄付」を実行していたことがわかった。なかには、セルフ寄付しか収入がなく、事実上、税金で運営されていると見られる政治団体もあった。
そもそも旧文通費には「不正の温床では」との疑念の声が
調査研究広報滞在費は国会法と歳費法に定めがあり、2022年の法改正で「文書通信交通滞在費」(文通費)から名称変更された。支出の根拠は「議員は、国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため、別に定めるところにより手当を受ける」という国会法第38条。国会議員は1人・月100万円の資金を非課税で支給されている。使途が公開されていないことから何に使われていたか分からず、「本当に政治活動に使っているのか」「不正の温床ではないか」といった疑念の声が途切れなかった。 2024年12月の国会で成立した改正歳費法は、①議員は1年ごとに領収書付きの支出報告書を議長に提出しなければならない ②残額は国庫に返納しなければならない―ことなどを定めた。適用は2025年8月の支給からで、それ以前の支給分について使途公開の法的義務はない。また、セルフ寄付そのものも規制されていない。 では、現在、旧文通費はどのように使われているのか。 旧文通費の透明化に党として取り組んできたのは日本維新の会で、2015年分から議員ごとの使途を公開している。セルフ寄付についても有権者の理解が得られないとして、2021年末に内規でこれを禁止。以後、セルフ寄付は行われていない。国民民主党は昨年から公開を始めた。対象としたのは前年2023年分。日本維新の会と同様、議員1人ずつの使途を領収書も含めて公開している。 一方、最大勢力の自由民主党は旧文通費の使途を自主的に公開していない。「適正に使用している」などと口頭での説明はあるものの、具体的な使途や関係書類は明らかにされておらず、有権者は使途を一切確認できない形になっている。